ソフトバンクグループは2016年7月18日、英ARM社を240億ポンド(約3.3兆円)で買収すると発表した(関連記事)。ARM社がこれからのIoT(Internet of Things)において極めて重要な役割を果たすであろうこと、これにソフトバンクのネットワーク事業を組み合せることで、新たなイノベーションを引き起こす考えであること、などが理由であるという。

 こういうニュースが飛び込んでくると、日本の電機メーカーは戦略立案に関する悩みをますます深めるのではないか。IoTは言うまでもなく、各社にとって避けて通れないキーワード。ここでは、IoT関連の戦略立案に欠かせないポイントを考えてみたい。

 今までインターネットに接続していなかったモノを接続させることで、新しい機能やサービスを生みだすというIoTの概念は既に十分に浸透しているだろう。新しいサービスを具体化し、実現に向けて動き出している企業もある。ソフトバンクはARM買収に3.3兆円ものカネを注ぎ込む以上、ARM社が強みを持つIoT分野において、それ以上の見返りを期待しているに違いない。

 IoT端末には、インターネットに乗せるデータを取得する機能(センサー)、これを無線で飛ばす機能(無線マイコン)、そしてこれらを実行するための電源を確保する機能(電源IC)、少なくともこの3つが不可欠だ。このうち無線マイコンには、ARM社のプロセッサーコア(ARMコア)を搭載する場合が圧倒的に多い。

 ARMコアは、ほぼすべての携帯電話機のベースバンドチップに採用されたことから急速に普及し、無線マイコンにおいても事実上の標準コアの地位を築いている。世界中のマイコンメーカーがライセンシーとなっていることも、普及スピードを速める要因となった。ARMコア専用のプログラミングを強みとするソフトウエアハウスも多数存在するため、無線通信を必要とするIoT端末にも必然的に採用されることになる。