iPhoneのディスプレーは、現在のLTPS液晶から早ければ2017年、遅くとも2018年からは徐々に有機ELに切り替わっていく可能性が高いと当社は見ている。2017年に登場する機種は曲面やフレキシブルなディスプレーではなく、ポリイミド基板を使いフラットな形状の“Unbreakable”ディスプレーになる公算が大きいだろう。

 供給者となるパネルメーカーにとって重要なポイントは大きく3つある。第1に技術力(G6 LTPS、フレキシブル基板、G6 2分割の蒸着など多岐にわたる)と必要なIP、第2に財務面や収益性からみた投資余力、第3に必要な製造装置を確保しているかどうか。

 その意味で、先行しているのは韓国Samsung Display社だ。A2(G5.5)工場およびA3(G6)工場で既にフレキシブル有機ELパネルの量産実績を持ち、IPや投資余力にも問題がなさそうだ。先手を打ち、2018年上期までにA3工場を最大18万枚/月(5.5型換算で年間4億2000万枚程度)へ拡張する可能性がある。このうち6万~9万枚/月をiPhone向けに充当する可能性があるだろう。

 現在、需給が非常にひっ迫している露光装置やイオン注入装置、蒸着装置を同社は少なくとも9万枚/月分は既に押さえていると見られる。準備は万端であり、あとは数量や価格保証といったApple社との取引条件のみだ。