説明会に登壇した、CIPA 代表理事会長の笹宏行氏
説明会に登壇した、CIPA 代表理事会長の笹宏行氏
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 いやー、デジタルカメラ業界って、本当に大変なんだなー。

 カメラ業界の展示会「CP+(シーピープラス)2017」の開催概要発表会(2016年12月13日開催)に参加し、筆者はこう思った。この発表会では、2017年2月23〜26日までパシフィコ横浜で開催されるCP+2017と、同時期(2017年1〜3月)に開催されているイベント「フォト・ヨコハマ2017」の概要について紹介された。その中で、CP+の主催者であるカメラ映像機器工業会(CIPA)が2016年のデジタルカメラ市場を振り返った。

 デジタルカメラ市場は、出荷台数はここ数年減少している。中でも、スマートフォンのカメラの高性能化に伴い、コンパクトカメラ市場が急速に縮小している。ミラーレス機といった、新しいタイプのレンジ交換式カメラが登場したことで、ある程度持ち直してきたものの、コンパクト機の落ち込みを完全に挽回しているとは言い難い。

 そんな状況下で、撮像素子の一大生産地である熊本で2016年4月に大きな地震が発生した。「秋から状況が改善したが、春から夏にかけて撮像素子の深刻な供給不足に陥り、メーカー各社の春・夏モデルに大きな影響が出た」(CIPA 代表理事会長の笹宏行氏)という。

デジタルカメラ出荷実績
デジタルカメラ出荷実績
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説明会に登壇した、CIPA CP+実行委員会 委員長の折原直人氏
説明会に登壇した、CIPA CP+実行委員会 委員長の折原直人氏
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 発表会では具体的な社名こそ挙げられなかったが、それはソニー(基幹工場はソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの熊本テクノロジーセンター)のことである。同社の撮像素子は、スマートフォンだけでなく、デジタルカメラでも広く採用されている。ソニーだけに限らず、他社にも供給している。ソニーは撮像素子分野で大きなシェアを握るだけに、デジタルカメラ業界に与える影響は非常に大きかった。秋から撮像素子の供給が改善したことで、若干持ち直したものの、2016年1〜10月の累計の出荷実績は、前年比51%にとどまるという。もちろん、震災の影響だけが原因ではないが、縮小傾向だったデジタルカメラ市場にとって震災は「泣きっ面に蜂」だったことは確かだろう。それだけに、デジタルカメラ業界にとって2016年は「厳しい時期だった」(CIPA CP+実行委員会 委員長の折原直人氏)という。

 なお、ソニーの2016年6月の発表では、熊本地震による2016年度の同社の営業利益への影響は、デバイス分野の600億円、映像機器を扱う「イメージング・プロダクツ&ソリューション分野」の450億円を含めて総額で1150億円のマイナスとみていた。