「やはり変わってしまうのか…。残念だな」――。安倍晋三内閣が2015年10月に行った内閣改造。これまでであれば主要閣僚の新しい顔ぶれがどうなるのかには注目していた筆者だが、今回は内閣改造に伴う、ある副大臣と政務官の人事も気になっていた。内閣府の副大臣だった平将明氏と、同大臣政務官だった小泉進次郎氏の動向だ。

このうち小泉氏は内閣改造前に「まだまだ雑巾がけの期間がある」と発言するなど、注目を集めていた。結局、お二人とも内閣府を去ってしまうことになるのだが、個人的には非常に残念だった。

 実は「日経Robotics」では創刊号(8月号)への掲載に向けて、今年6月にお二人からロボットやドローン、自動運転車などの新技術とイノベーション、規制緩和などについて座談会形式でお話を伺うことができた。予定の時間を超過するほど話が盛り上がり、内容も非常に面白かったので、創刊号と2号目の2号にわたってその様子を掲載したのだった。

 平氏は、内閣府が主導する「近未来技術実証特区」の発案者である。近未来技術実証特区とは、ドローンやロボット、自動運転車といった新技術分野でのイノベーションを一層喚起することを狙って設置する特区だ。同特区の実現を目指し、内閣府は2015年1月に「近未来技術実証特区検討会」を立ち上げた。その主要メンバーが平氏と小泉氏だった。私はお二人の話を伺う中で並々ならぬ熱意とやる気を感じ、「近未来技術」の開発などに向けた両者の今後の主導力に期待していたのである。

 伺った話の中で、実現に向けてぜひ動いてもらいたいと思ったものの1つが、アワード型競技会だ。こうした競技会として有名なのが、例えば2015年6月に米国で実施された災害対応ロボットの国際競技会「DARPA Robotics Challenge」であろう。優勝賞金は2億5000万円にも上った。

 当然、お二人ともこの競技会のことはご存じで、平氏は「アワード型競技会の開催に向けて、ぜひ流れは作りたい」と発言。一方、小泉氏も「DARPA Robotics Challengeのような競技会は日本でも必要だ。米国では優勝賞金が数十億円の『Google Lunar XPRIZE』などもあり、日本の研究者も参加している。賞金獲得というよりも、競技に参加して結果を出せれば、世界に名前が知れ渡ることのほうが大きい」と述べた。