白鷺ニット工業取締役専務の三木一正氏と同社の商品
白鷺ニット工業取締役専務の三木一正氏と同社の商品
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 オフィス業務のほとんどを米Google社の「Google Apps」でこなしているというメーカーに話を聞く機会がありました。そのメーカーとは、インナーウエア/アンダーウエアの企画・開発・製造を手掛ける白鷺ニット工業です。正直にいえば、Google Appsがメーカーの業務に合うかどうかは企業によると思うのですが、それでも白鷺ニット工業の取り組みは変化の激しい時代を迎える製造業にとって多くの示唆に富んでいると感じました。

 「多くの社員が同じファイルを共有し、同時並行で編集できるようにしたかった」。白鷺ニット工業でITシステムを担当する同社取締役専務の三木一正氏は、Google Apps導入の狙いをこのように説明します。中でも利用頻度が高いのは表計算ソフト(Google Appsでは「スプレッドシート」)です。具体的には、受発注や資材管理、売価、原価などさまざまな情報のスプレッドシートファイルを互いにリンクさせることで、「リレーショナルデータベースのように使っている」(同氏)そうです。

 白鷺ニット工業は、自社ブランドで商品を企画・開発・製造し、それを量販店などの小売業者に卸しています。大手のアパレル企業や小売業者があらかじめまとまった量を購入してくれるわけではありません。そのため、最新のデータに基づいて売れ筋商品の増産や伸び悩んでいる商品のテコ入れ、新商品の開発といったアクションを素早く起こす必要があります。だからこそ、「多くの社員が同じファイルを共有し、同時並行で編集できる」ことが重要になるわけです

* 今となっては、同様の共同編集機能が可能なクラウド型のオフィススイートは他にも存在すると思われますが、当時はGoogle Appsでなければ多人数の共同編集は難しかったそうです。