自動運転を安全性に基づいて評価

 自動運転機能の定義の曖昧さは、世界で共通の課題となっています。ドイツ連邦交通研究所(BASt)のDirector and Professorで、EuroNCAPのSecretaryを務めるAndre Seeck氏も、自動車メーカーと消費者との間で「自動運転の認識にギャップがあるのを感じている」とのこと(図5)。自動運転のレベルばかりに着目するのではなく、安全性の観点から評価する必要がありそうです。

図5 ドイツ連邦交通研究所(BASt)のDirector and Professorで、EuroNCAPのSecretaryを務めるAndre Seeck氏。
図5 ドイツ連邦交通研究所(BASt)のDirector and Professorで、EuroNCAPのSecretaryを務めるAndre Seeck氏。
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 その一つの対策としてSeeck氏は、実際の車両を使った安全評価である「自動車アセスメント」を自動運転にも適用することで、市場に出る自動運転機能の具体的な基準を確立できると期待します。安全性に基づいた評価で、地に足の着いた議論を始めるのです。

 具体的にBAStでは、自動運転の普及を想定して、2024年に向けた自動運転アセスメントの評価項目を検討しています。アセスメントで設定する目標としては、「システムの限界やセンサー性能の明確化」「運転者責任の範囲の明確化」「運転権限の受け渡しなどに関わるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)設計の不備の洗い出し」を挙げ、同時に「自動運転システムによる安全効果」についても評価を想定しています。