それも不発に終わると、彼はおもむろに、お尻を私の顔に近づけてきた。作戦“その三”だ。香ばしい匂いが鼻腔を満たし、脳を直撃した。私の負けだ。朝食にしよう。

大人しいフリもする
大人しいフリもする
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 相手に自分の意思を伝えるのは難しい。会話が成立しない対象ならなおさらだ。「日経Automotive」的なテーマと重ねると、自動運転車がこの“意思の疎通問題”に直面している。

 一般的な期待として、自動運転中は眠りたいというものがある。だが、自動運転できない状況になるとクルマは、運転の責任をこちらに渡してくる。車載ディスプレーに警告を表示しても、眠っているので気付くわけがない。

 その点を踏まえて、冒頭の“ニャーンガリガリプーン”に戻る。腹ペコの茶色い彼は、視覚へのアピールが無効だと判断するや否や、聴覚(ニャーン)、触覚(ガリガリ)、嗅覚(プーン)の刺激に切り替えたのである。もしかすると天才かもしれない。