米Apple社のスマートフォン(スマホ)「iPhone」の2015年1~12月期国内出荷台数が前年比10.6%減の1437万台と、初の前年割れに終わったことがMM総研の調べで分かった。2015年モデルとして同年9月末に発売された「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の販売が低迷しているのではないかとの観測は同年の晩秋あたりから市場や業界でチラホラ出始めていたが、2016年1月末にはApple社自身が、2015年10~12月期のiPhone世界販売台数が前年比ゼロ成長にとどまったことを明らかにした。

 iPhone減速の影響は台湾のiPhone供給チェーンの業績の上にも如実に表れている。例えば、シャープ買収の最有力候補として注目を集めるEMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手のHon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕はiPhoneシリーズ全体の7割程度を受注しているものと見られるが、同社の売上高の伸びを見ると、2015年モデル発売月の同年9月には前年同月比10.9%増と2ケタの成長を見せたものの、同10月には7.2%増と1ケタ台に落ちた。同11月は5175億1900万新台湾ドル(1新台湾ドル=約3.5円)と売上高こそ単月の過去最高を更新したが、前年同月比の成長率は0.53%増とほぼ横ばいの水準まで低下した。そして同12月は同20.5%減と一気にマイナス成長に転落、2016年に入っても1月は同14.8%減と落ち込みに歯止めがかからないでいる。

 このうち2015年11月について台湾の市場関係者は、「新サイズの12.9型で話題を集めたApple社のタブレット端末『iPad Pro』のアセンブリはフォックスコンが独占的に受注しているが、その発売月と重なった11月の売上高が前年同月に比べ1%未満の成長だったということは、iPhone単体ではマイナスだったのは確実だ」と指摘している。フォックスコンは中国河南省鄭州に世界最大のiPhone製造工場を持っている。その中国は春節(旧正月)で2016年2月7日から1週間の休暇だったのだが、iPhone低迷を受けフォックスコンが鄭州工場のワーカーに対し、同年1月初旬から前倒しで春節休暇を取るよう促したとして話題になった。