早いもので今年もあと10日ほどになりました。自分自身を振り返ると、国の財政状況や電機・半導体産業の不振もあり、研究資金を集めるために走り回っていた一年でした。環境が整わなければ研究のスタートにさえ立てないという現実はあるにせよ、研究の本質的を考えることが疎かになっていなかったか、と反省しきりです。

 データセントリック・コンピューティング、ニアメモリ・プロセッシング、インストレージ・コンピューティングとも言われるように、高速な不揮発性メモリを使ってメモリ階層を減らし、データの移動を減らしてメモリの近くで計算をすることでリアルタイム処理を可能にする、高速・低電力なコンピューターがビッグデータの時代には必須になります。40年ぶりのコンピューター・アーキテクチャの革新とも言われる技術の転換点は、産業構造・ゲームのルールをひっくり返す絶好のチャンス。来年こそ、というより今から研究に邁進せねばと思っています。

 さて、このコラムは2011年2月に始まりましたので、新年で6年目になります。これまで長い間読んで下さり、本当にありがとうございます。年末最後の記事は、いつもその年を総括した記事を書いていますので、定点観測として過去の記事を振り返ってみましょう。
「あなたが会いたい人も、きっとあなたに会いたい 徹底的にユーザーの立場に立った商品企画と技術開発(2011年12月26日)」(リンク先
「大企業よ、さようなら。儲からなくても、忙しくても、自分の人生は自分で決めたい。終身雇用が崩れた電機産業のエンジニア人生(2012年12月26日)」(リンク先
「私どものエンジニアは半導体メーカーのエンジニアほど技術一辺倒ではないのです エンジニアがビジネスモデルを考えることが必須の時代 (2013年12月25日)」(リンク先
「MOT(技術経営)を学ぶには技術と経営のどちらが先か? アウトプットの前にインプット (2014年12月25日)」(リンク先

 今から振り返ると、ちょうど日本の電機業界・半導体業界が苦しくなった時に連載を始めたことになります。企業として個人としてどのようにして苦境を乗り越えるか、悩みながら、試行錯誤してきたことが、年末最後の記事からもわかります。今年も不適切会計問題を引き起こした東芝が数千人、最大7000人ものリストラを予定していると報道されています。