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手作業で造って品質を確保

ヘルメットを科学する・その3

2017/02/24 05:00

北岡哲子=日本文理大学特任教授

出典: 日経テクノロジーオンライン、2016年11月29日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 今回は、Araiヘルメットが出来るまでの工程を紹介します。

 アライヘルメットへの取材を始めてすぐ、製品の特徴を伺いましたところ、「他メーカーより高価だが、日本で熟練者が手掛けて1つひとつ丁寧に、最高のスキルを生かしながら造っているので、価格は適正であるという自負がある」というお答えを頂きました。そして、3か所に分かれている工場で、生産工程を拝見させていただきました。

 唐突ですが、物書きの仕事の終わりは、脱稿ではなく読者の心に言葉が届いたときと考えています。アライヘルメットも同様、工場での出来上がりではなく、ライダーに高い安全性を届けられた時が、完成の瞬間なのです。そのためには、従業員の効率など二の次にできる集団だと痛感しました。

 工程は大きく3つの部分に分かれます。「帽体成形」「成形された帽体の塗装」「最終完成品組み立て」です。各工程はさらに小さな工程に分けられますが、ここでは全体の流れを紹介します

1.金型加工

図1 立体モデルの形状を測定し3Dデータを採取
図1 立体モデルの形状を測定し3Dデータを採取

 設計データを元に、帽体を成形するための金型を作成します。以前は手仕事で1週間かけていたが、今は24時間以内に完成させ、試作を始められる。普通は外注に任せる作業だが、創業当時からアライは金型を自社で製作しており、その伝統は今も引き継がれています(図1、2)。

図2 データをCADで処理し、金型を切削

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