2.帽体成形

 アライは繊維強化樹脂(FRP)製帽体の主材料に、糸状のスーパーファイバー(特殊ガラス繊維)を採用(図3)。通常より強度が30%アップする一方で、コストは6倍もするそうです。他の繊維も複合積層し、熱硬化性樹脂で固めます。

図3 帽体の原料になるスーパーファイバー
図3 帽体の原料になるスーパーファイバー

 ガラス繊維を短く切り、お椀状の容器の中にあるスクリーン型にエアで吸い付けて成形します(図4)。気象条件やサイズにより、帽体の厚さが変化する繊細な作業です。この繊維の塊を、職人が光にかざしてバランスを確認し、調整しながら工程を進めます。

図4 帽体の成形
図4 帽体の成形
図4 帽体の成形
ガラス繊維を基に、わたあめを造るような要領で成形していきます

 100℃以上に予熱した金型に、成形したガラス繊維や、その他の材料を3層~6層に重ね合わせ、熱硬化性樹脂を加えます。シリコン製の風船で内側から圧力をかけ、金型に押し付けて加圧、加熱して硬化させます(図5、6)。

図5 金型に帽体と熱硬化性樹脂を入れて硬化
図5 金型に帽体と熱硬化性樹脂を入れて硬化
図5 金型に帽体と熱硬化性樹脂を入れて硬化
図6 出来上がった帽体
裾や窓の部分をレーザーでカットして、人の手により部分調整や細かい補正を施します
図6 出来上がった帽体