日本はもともと単独決算方式だったため、物流子会社を業績管理の調整弁として活用したり、親会社の余剰人材を受け入れる「受皿機能」を担わせたりしていたが、連結決算主義に改められたことで、「物流の外部化」が少しずつ拡大している。前回述べたように、Logistics 4.0が、この物流の外部化の動きを加速させるだろう。

 物流のオペレーションは、元来極めて労働集約的であり、自社のやり方を追求することが比較的容易だった。現場のオペレーションを物流会社に委ねている場合であっても、自社のやり方への適用を求めてきた。あるいは、荷主の「自社流」への対応力が、物流会社の競争力の源泉になっていた。

 Logistics 4.0によって「省人化」が進むということは、「自社ならではの物流管理」を追求するよりも、機械やシステムによる「標準的な物流管理」を受け入れることのコストメリットが高まることを意味する。加えて、「標準化」が進めば、物流機能を他社とシェアリングすることが容易となる。「自社で物流を管理することの経済合理性」は、ますます希薄化するといえよう。

混載できるかで進みは違う

 「物流の外部化」の進展には、荷物としての「混載の容易性」と、荷主の事業における「外部化の必要性」次第で事業者や業種によって大きな差異が生じる(図4)。
図4 「物流の外部化」を促すもの
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図4 「物流の外部化」を促すもの

 荷物として混載が容易なものであれば外部化しやすい。一般的な物流資材に積載可能なものであれば、物流の共同化も進めやすい。特殊な管理を必要としないものであれば、物流品質へのこだわりも相対的に低くなる。

 事業における外部化の必要性という点では、荷主の売上高に占める物流費の割合が大きければ、外部化による物流費削減へのインセンティブが働きやすい。同様に、競争環境がグローバルで激化している業界であれば、聖域なきコスト構造改革の一環として物流にもメスが入りやすくなる。対して、物流品質が差別化の源泉となっている荷主であれば、物流を外部化すべきではないとの判断が経済合理性にかなう場合もある。