医療機関のオンライン検索・予約サービスは、米国でいち早く普及した。背景には、独自の保険制度や予約必須という慣習、医療費の非統一などの事情がある。

 各種サービスのうち最もメジャーとされるのが、ZocDoc社によるもの。同社は創業8年目の2015年8月に、評価額18億米ドルでの資金調達を発表。ユニコーン企業(企業評価額が10億米ドルを超える非上場ベンチャー)入りを果たした。

ZocDocの画面例(出所:ZocDoc社)
ZocDocの画面例(出所:ZocDoc社)
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 同社の「ZocDoc」は、米国民の実に約6割が利用しているとされる医療機関オンライン予約サービス。立地や予約時間枠、保険適応の有無などの条件から医療機関を検索したり、検索した医療機関を即時に予約したりできる。ユーザーが医師を口コミで評価するCGM(Consumer Generated Media)の機能も充実しており、各医療機関の評価が利用者目線で可視化されるようになった。

 各ユーザー(患者)はZocDocを無料で利用可能だ。代わりに、同サービスを導入する医療機関に月額300米ドルを課金する収益モデルを採る。

 ZocDocと同様の医療機関予約サービスとして「Zeel」がある。月間500万人が利用し、サイト上予約枠の40%が24時間以内に埋まる(2014年公表値)という驚異のコンバージョン力を誇る。

 Zeelは医療機関に対して各予約ごとに手数料を課金する、成果報酬課金モデル。成果とは無関係に導入コストが発生するZocDocは、医療機関からよりシビアに集客力を求められる形になる。