もはや“医療機器メーカー”ではない

 保険業界は、これらの事業を展開していく上で、デジタルヘルスベンチャーのほか、IT 企業や健康機器メーカー、薬局、広告代理店など、さまざまな異業種との連携を模索し始めています。

 もっとも、こうした模索を始めているのは保険業界だけではありません。物流・流通・小売、住宅・不動産といったこれまで必ずしも医療・健康・介護とは関係がなかった業界が同様の動きを見せ始めています。多種多様な業界が今、デジタルヘルスの活用によって自社のビジネスを変えていく可能性を模索しているのです。

「デジタルヘルスDAYS2017」のカンファレンスの様子(写真:加藤康)
「デジタルヘルスDAYS2017」のカンファレンスの様子(写真:加藤康)
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 一方で、既存の医療・健康・介護のプレーヤーにとっても、周辺業界との連携は自らの価値を高めていく上で見過ごせないものになってきています。デジタルヘルスDAYS 2017では、日本調剤 専務取締役の三津原庸介氏が「今までは考えられなかったさまざまな業種と薬剤師の力を合わせ、医療の質を向上させたい」と語り、ヘルステックNo.1カンパニーになることを標榜するフィリップス・ジャパン 代表取締役社長の堤浩幸氏は、今後に向けて「多種多様な業界とパートナーシップに基づいたエコシステムを構築することが重要だ」と指摘しました。

 実際、フィリップス・ジャパンは2017年12月、ヤマトロジスティクスや札幌市、ソフトバンク、アルムなど多くのパートナーとの怒涛の異業種連携を発表しました(関連記事)。同社の例が示しているのは、もはや医療機器メーカーは、単に病院の中に向けて医療機器を売るだけの存在ではなくなるという未来図です。そのために、社会の中のあらゆるプレーヤーとの連携を図っていこうというわけです。

 さて、冒頭のように読者からの大きな注目を集めている新生キヤノンメディカルシステムズ。果たして同社も、2018年はこれまでの延長戦上にない、新たな連携などの話題を提供してくれるでしょうか。注目です。