このコラムでは、「リアル開発会議」が提案する「自動で濡れティッシュ」の進捗を追っていく。ユニットに手をかざすと、受け皿が開き、濡れティッシュが1枚ずつ出てくる。こんな濡れティッシュの自動取り出し装置(ディスペンサー)が登場した。開発したのは、松尾製作所である。

 取り扱い方法は非常にシンプルだ。携帯用濡れティッシュの中身をディスペンサーに設置するだけ。手をかざすと赤外線センサーが反応して、濡れティッシュが1枚だけ出てくる。ティッシュを排出する開口部に手を触れることがないから、清潔で衛生面でも優れる。格納部を密閉すれば、ティッシュが乾燥する心配もない。

 ありそうでなかった、このディスペンサーの用途開拓を進めるのが、開発№011の「自動で濡れティッシュ」である。

イラスト:楠本礼子
イラスト:楠本礼子

 応用先はパッと思い付くだけでもたくさんある。まずは飲食店でのおしぼりの代替だ。
 回転寿司店やファミリーレストラン、大型ショッピングセンター内のフードコートなどでは、ビニール袋に入った使い捨ての紙おしぼりを利用していることがほとんどだ。袋からおしぼりを取り出す手間がかかる上、袋は廃棄物となり、環境配慮の面からもよろしくない。

 新開発のディスペンサーを使えば、お客がパッと手をかざすと、おしぼりが1枚ずつ自動で出てくるサービスを提供できる。例えば、回転寿司店であれば、テーブル上にあるお茶をいれるお湯の注ぎ口の脇にディスペンサーを設置すればいい。飲食店以外には、病院や公共トイレなどでも利用できるだろう。装置に直接触れずにアルコール消毒の濡れティッシュを手に取れれば、病院では衛生面で非常に役立つ。

 このディスペンサーでは、ひげ剃りやプリンターのような消耗品ビジネスが十分に考えられる。例えば、さまざまな用途ごとに開発したディスペンサーを、利用料金を低く抑えてリースし、消耗品の濡れティッシュで収益を上げる。また、濡れティッシュの一枚一枚に広告を印刷したり、ディスペンサーに液晶パネルを付けて広告を流したりすることもできる。そうなると、ディスペンサー用におしぼりを販売するビジネスのフランチャイズ化を展開できるかもしれない。