いまや海外に工場を持つのは当たり前の時代。技術者といえどもいつ何時海外赴任を命じられるか分からない。大手メーカーで海外拠点の社長を経験し、国内外の工場の建て直しなどを数多く手掛けてきた凄腕コンサルタントが、海外赴任と工場運営にまつわるあれこれを語る。
ジェムコ日本経営 常務理事 グローバル事業担当
主な資格は、ICMCI(国際公認経営コンサルティング協議会)認定コンサルタント、公益社団法人全日本能率連盟認定 マスターマネジメントコンサルタント、中小企業診断士。
GLOBAL SENSE
いまや海外に工場を持つのは当たり前の時代。技術者といえどもいつ何時海外赴任を命じられるか分からない。大手メーカーで海外拠点の社長を経験し、国内外の工場の建て直しなどを数多く手掛けてきた凄腕コンサルタントが、海外赴任と工場運営にまつわるあれこれを語る。
進めざるを得ない現地化
国内工場でも海外工場でも、経営を担える人材をどれだけ育成できているかで、業績に大きな差がでる。後継者を育成できていないと企業の存続も難しくなる。とりわけ、海外出向者の役割として大切なことは、ローカル人材の育成だ。
重点取り組み事項の優先順位を明確に
多大な不良を出して顧客に納品できないという事態に陥っている時に、来年の商品をどうするかという検討を優先したらどうなるか。いくら良い商品を発売できるとしても、その前に顧客からの信用を失って取引そのものが無くなれば、せっかく開発した新商品も売れなくなってしまう。事業、ひいては企業そのものの存続も危うくな…
経営診断の際、最初に財務3表でその企業の経営状況を確認する。例えば、貸借対照表ではお金の使い方という視点から、長期の滞留在庫や遊休設備にしてお金を遊ばせていないか、未回収の売掛債権はないかといった確認をする。ところが帳簿での確認とともに、資産の状況を現場・現物で確認しようとすると、「それは大変です」…
純利益を総資産額で除した総資産利益率(ROA:Return On Assets)は、これらの資産を使ってどれだけの利益を出したかを示す指標。これこそ、まさに経営推進の基本を示す数字と言える。資産を活用していかに多くのお金を生み出しているかを端的に示すものだからだ。
生産能力がないのに、大口の注文が入ったからといって、チャンスとばかりに受けたとしよう。すると、部材の手配が間に合わなかったり、慣れない作業者の大量投入で作業ミスが続出したり、作業のやり直しや手直しが発生したりする。長時間残業による疲れが作業ミスや怪我を招くことにもなる。かく言う現場は混乱する。
利益を確保する上で大切なことは、利益を生み出す源泉は何かを見極めること。○○せよといった強制的な指示ばかりの「やらされる」経営では、現場が自ら利益創出を考えたり、皆が自主的に頑張ろうという空気が醸成されたりということにならない。
企業を訪問すると異常に気付けない職場にときどき出会う。外部の人間から見れば「この状態を異常と思わないの?」という状態なのだが、社内にいる人は異常を異常と感じていない。
新製品開発は社内プロセスの変革の好機である。工法を変革しようとしても、現在生産している製品では変革を図るのは難しい。既に金型もあり設備もそのままという中では、変革できる部分はごくわずか。工法を変えられないとなると、コスト面でも大きな引き下げは期待できない。よって、変革のタイミングは、正に新製品を投入…
工場を訪ねると、何かしらのスローガンが掲げられているのを見かけることが多い。ところが、現場で社員の皆さんから話を聞いていると、「あのスローガンはいったい何なのか」と言いたくなることがある。
仕事柄いろいろな工場を訪問するが、早めに着いた時はその周りを歩いてみることにしている。中に入らなくても、外から様子を見ただけでその工場の状態がおおむね分かるからだ。
一律コスト削減では明日がない
経営が厳しくなると、どこの工場も徹底した経費の削減に取り組む。その際、経費の中身を区分して見ているだろうか。実は削減対象となる固定費の中には、現在の事業のための費用と、将来を見据えて次なる布石を打つための費用の両方がある。これをどれだけ意識しているかが肝心だ。
経営再建の基本を考える
グローバル化が加速し海外の生産拠点が増えると、中には必ずしも経営が順調とは言えないところも出てくる。経営再建の任にあたることもまれではない。拠点戦略の見直しという視点から拠点閉鎖という選択する場合もあるが、今回は経営責任者として再建を担う立場だったとすればどんなステップで経営再建を図るのが望ましいか…
赤字の商品の生産を中止したり外注化したりした時、会社全体の利益はどうなるだろうか。赤字商品が無くなるので利益は増える?本当にそうだろうか。結論から言うと、赤字商品といえども売上高から変動費を差し引いた「限界利益」がある商品を中止・外注化すれば、限界利益が減った分だけ利益は悪化する。
C/F経営に徹するために必要なこと
大企業の方には、“損益計算書(P/L)については理解しているが、貸借対照表(B/S)やキャッシュフロー計算書(C/F)はほとんど見たことがない”という人が多い。それは、日頃の各部門での管理が売り上げや費用を軸として販売推進やコストダウンといった活動であること、常に利益を追求することから、P/Lを中心…
「残念ながら、計画未達に終わりました」「残念ながら、事故を発生させてしまいました」――。どの企業でも、経営数値などを社内外に報告・発表する際に、「残念ながら」という言葉が枕詞のように使われることがよくある。筆者はこの言葉を聞くといつも、“この企業は大丈夫か?”という気にさせられる。
今までマザー工場の役割を果たしてきた日本の工場が、その機能を果たせなくなってきている。工場の海外シフトによって、日本の工場には既に無くなってしまった工程も多いからだ。
「利益率」や「在庫回転率」など、経営数字の管理に「率」を使うことは多い。前年実績や計画との対比など、ベースとなる販売数量や販売金額、生産数量が異なる場合は、「率」で比較しないと良くなったかどうか分からないので、ある意味当然のことである。しかし、企業経営を支援するコンサルタントの立場からすると、本当に…
多い日本への不満、内なる国際化をどう図る
経営者はリレーランナー、引き継ぎは数字だけではない
先手の経営管理
前回は、経営推進の基本となる経営計画の策定において、いかに裏付けのあるものにすることが重要かについて述べた。裏付けがなくては計画に基づいて経営を進めることなど到底できないからである。今回は、月々の経営計画を達成するために重要な、「先手の経営管理」について解説する。