新たなサポーターを呼び込む仕掛け

―― そのためのスマホアプリというわけですね。時代の流れからすると、スマホ対応はもはや当たり前ともいえます。しかし、一方で今やスマホのアプリはレッドオーシャン(激しい競争状態)で、リリース直後にダウンロードが一時的に伸びても、翌月にはランキング外に消えていくという厳しい環境でもあります。単にアプリを出しただけでは新規サポーターを取れるというものでもないと思いますが、そこにはどんな仕掛けがあるのですか。

杉本 まずはアプリとしての基本機能を充実させました。試合日程が分かる、Jリーグに関連するニュースを読むことができる、チケットを購買できる、クラブのホームページやSNSとリンクされているなどです。

 さらに今回、新たなサポーターを呼び込むための仕掛けを入れました。

 第1に、既存の熱量が高いサポーターが、友人や知人を呼び込むための仕掛けです。第2に、Jリーグには多くのパートナー企業がいます。このパートナーが持っている顧客をお互いに活用する仕掛けを初めて導入してみました。第3に、これまで公式戦がある週末近くにしか接する機会をなかなかつくれなかったところを、パートナー資源を活用し、平日にも増やすような仕掛けを導入したことです。

―― これまでなかなか到達できなかった潜在層に対して、既存のサポーターからの紹介というチャネルと、オフィシャルパートナーというチャネルの2方面からアプローチを掛けようということですね。具体的にはどんな仕掛けを導入したのでしょうか。

新たなチャネル経由で潜在層を取り込む(図:筆者)
新たなチャネル経由で潜在層を取り込む(図:筆者)

杉本 今回のアプリには「ゲーミフィケーション」の要素を取り入れています。サポーターがアクションするたびに、「スター」が獲得できたり、「メダル」がもらえたり、「ランクアップ」したりします。

 例えば、メダルが増えると様々なキャンペーンに応募できたりします。つまり、Jリーグを楽しめば楽しむほど、より楽しめる企画へのチャンスが広がるようになっているというわけです。

 ゲーミフィケーションの中には、Jリーグ関連の情報をSNSで拡散するとメダルがもらえるといった、今いるサポーターと潜在的なサポーター層がつながりやすくなる仕掛けや、ペアチケットに当選すると、その当たりチケットを友人や知人にアプリを通じて送ることができるような仕組みがあります。こういった仕掛けを通じて、既存のサポーターが潜在層サポーターを少しでも誘いやすくなればと考えています。

ゲーミフィケーションを取り入れた「Club. J LEAGUE」アプリ(画像:Jリーグ)
ゲーミフィケーションを取り入れた「Club. J LEAGUE」アプリ(画像:Jリーグ)