四国ILは、北米の独立リーグ「キャンナム・リーグ」に参戦する
四国ILは、北米の独立リーグ「キャンナム・リーグ」に参戦する
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技術のレベルアップ、そしてインバウンド貢献

 プロ野球の独立リーグ、四国アイランドリーグplus(以下、四国IL)が米国、カナダに遠征し、現地の独立リーグ「キャンナム・リーグ(Can-Am League)」所属の6球団との公式戦、同リーグにゲスト参戦するキューバ代表との親善試合を行うことになった。チームが遠征に旅立つ前日、2016年6月3日に四国ILを運営するIBLJ代表取締役社長の森本美行氏や、代表選手、監督らが羽田空港で記者会見に臨んだ。

 2015年に続いて2度目となるこの北米遠征には、四国ILから選抜された28人の選手が参加。選手たちは、6月9日〜7月2日までの24日間に渡り、北米大陸の1350km以上を移動しながら20試合を実施するという心身ともに厳しい環境に身を置くことになる。その中で戦い抜くことによって、個々の選手たちの技術を高め、国際感覚を醸成することがこの遠征の目的であるが、選手たちはもう一つの期待を背負っている。日本と四国地方のPRを積極的に行い、観光などのインバウンド需要に貢献するという役割を担っているのだ。

IBLJ代表取締役社長の森本美行氏。四国IL誕生時に最初に出資を行った人物であり、リーグの生みの親の1人と言える。データスタジアムの代表取締役などを歴任した経験を生かし、四国ILのさらなる発展に取り組んでいる。
IBLJ代表取締役社長の森本美行氏。四国IL誕生時に最初に出資を行った人物であり、リーグの生みの親の1人と言える。データスタジアムの代表取締役などを歴任した経験を生かし、四国ILのさらなる発展に取り組んでいる。
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 具体的には、北米の少年野球チームを対象とした野球教室や、現地の日本人会などと交流イベントを実施する。また、6月5〜7日の3日間、選手たちは現地で生活する人々の自宅にホームステイし、そこでも四国地方の魅力をアピールするのだという。

 地域貢献、インバウンド貢献という点について、IBLJの森本社長は次のように語った。

「まずは選手たちがベストのプレーをすることで、日本の四国という地に、四国ILという野球リーグがあることを北米で知ってもらうことが大事。さらに、現地の人々との交流を通じてプレー以外の面でも選手たちの魅力に触れてもらい、 “四国に行ってみたい”と思ってもらえるようになれば、それが地域への貢献につながるのではと考えている」

 もちろん、あくまでも技術面でのレベルアップが今回の遠征の主目的である。地域貢献という点では草の根的な動きである感は否めないが、こうした目的を掲げて海外に遠征するプロスポーツチームは少ない。その背景には、過疎化が進む四国という地だからこそ、スポーツの面でも“グローカル化(glocalization)”戦略を図っていかなければならないという思いがあるのだという。