―― リオ五輪でコカ・コーラ社は、「#ThatsGold」というキャンペーンをグローバルに展開していました。東京でも、リオと同じようなグローバルに統一した展開を計画しているのですか。
高橋 リオ五輪の取り組みは、開催国だけではなく、グローバルに同じキャンペーンを展開した初めての例でした。これまでは、開催国に根差した内容のキャンペーンだったので。グローバル展開によるアクティベーションのボリュームという点でも非常に成功した例の1つです。
東京五輪でも、基本的なプランは日本とグローバルのマーケティングが話し合って、グローバルに展開するという形になります。ただ現段階では、キャンペーンの内容は決まっていません。先ほど話したように、まずはレガシーを設定して、そこから落とし込んでいくことになります。
―― リオ五輪で、オリバーさん自身が最前線で感じたマーケティングの成果は。
高橋 若い世代、特に15~19歳のティーンをターゲットにした取り組みです。ソーシャルメディアを使ったコミュニケーションが非常にうまくできました。ブラジルだけではなく、オーストラリアや米国、英国などからインフルエンサーを招いて、ブースを設けて、五輪に関する情報を発信してもらいました。この取り組みは反響がすごく大きくて、コカ・コーラとしても新しい試みができたと受け取っています。
―― ソーシャルメディアによる情報発信は、かなり有効だったんですね。
高橋 やはり若い世代は常にソーシャルメディアをフォローしていて、反応が速い。テレビや新聞、雑誌で打つ広告とは全く反応が違います。情報に触れた人が、自ら情報を拡散していくことも大きい。
リオでは「パラダ・コカ・コーラ」という展示ブース内にソーシャルメディアの情報発信基地を設けました。壁には、各国のテレビ中継を表示して各会場の競技の様子を映していました。ブースには、様々な国のインフルエンサーが100人くらい集まっていたのではないかと思います。
―― プレスルームのソーシャルメディア版のような感じですね。例えば、ソーシャルメディアで記事を発信してアフェリエイトなどで収入を得ているプロのブロガーのような人々が集まって、五輪関連の記事を発信していたと考えればいいでしょうか。
高橋 そうです。IBC(国際放送センター)のソーシャルメディア版です。夜遅くまで、ずっと活気があって、ドーナツをかじりながら原稿を打っていたり、結構面白かったです(笑)。
―― ブロガーは、公式のプレスルームになかなか入れてもらえないということもあるのでしょうね。他社で、同じような取組みをしているところは。
高橋 なかったと思います。だから、毎日のように他の会社からの見学がありました。「今日、見学に行きたいのだけど、何時に入れる?」といった問い合わせが多かったようです。大会の情報発信という意味では今後、IOCも変わっていくのかもしれません。ちなみに、IOCの方々も見学に来ていましたよ。