公益財団法人自動車技術会は2015年3月2日、東京都新宿区の工学院大学にて、モータースポーツ部門のシンポジウム「モータースポーツ技術と文化~モータースポーツの新技術と未来~」を開催した。この中で、「パイクスピークにEVで臨んだ3年間」というテーマで、三菱自動車開発本部EV要素研究部の田中泰男氏が行った講演の概要を紹介する。
米国での歴史あるレースとして名高い「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」(以下、PPIHC)に、三菱自動車は2012年から電気自動車(以下EV)で参戦した。1999年にはFTO-EVで当時のEV24時間走行記録(2142.3km)を達成するなど、EVの開発を進めてきた同社は、EVおよび企業のイメージ向上とEVの高性能化技術を得るために、2010年のEV「i-MiEV」の発売に続くかたちで、EVによるPPIHC参戦を決定した。
米国コロラド州のPPIHCのコースは、スタート地点(標高:約2862m)からゴールである頂上(4301m)まで標高差が約1439mに達するという設定だ。このため、内燃機関では出力低下が避けられないが、EVではパワーが落ちることなく走行することができる。さらに競技としては比較的短距離のため、バッテリー搭載量を抑えることが可能となる。これらの要素から、三菱自動車チームはPPIHCにおいてEVが内燃機関搭載車両と互角に競うことが可能と判断したという。