濱口 ここでチェックしなければならない点は、どこまで分類の条件を出せるかということ。出せる人はバンバン出すし、出せない人は三つくらいで止まってしまう。もちろん、「どれだけ数を出せるか」ということは見ますが、もう一つ大事なことがあります。

 採用する職種はコンサルタントなので、分類できなくなったときにパニックに陥ったらダメ。必ず誰もが限界に達するので、その状態で平然としていられるかどうかが重要なんです。三つしか出せなくても「ちょっと考えましょか」と切り返せるならOKなんです。

 それからロジック性。例えば、「立っている人・座っている人」という誤った分類を出してしまったとしますよね。「それはおかしいですよね」と指摘されたときに、すぐに気付いて訂正できるか。そして、例えば間違いを3回まで許すというルールを決めたときに、ロジック性を保っていられるかを観察します。

 次に、僕の方で10個程度の変な分類を用意しておいて、「あなたの考えた分類は全部で20個、僕が考えた分類は10個。この30個の分類条件をさらに分類してください」という質問を投げ掛けます。「性別」「人間のタイプ」「身体に染み付いているもの」「変えることができないもの」といった上位概念での分類方法を聞くんです。ここまでの50分で、ロジカルな能力の高低が分かります。

前野 隆司(まえの・たかし)<br>慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。1962年山口生まれ。広島育ち。1984年東京工業大学工学部卒業、1986年東京工業大学理工学研究科修士課程修了、同年キヤノン入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年よりSDM研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990〜1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。著書に『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4894519429/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4894519429&linkCode=as2&tag=techon-22" target="_blank">脳は記憶を消したがる</a>』(フォレスト出版)、『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062177420/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4062177420&linkCode=as2&tag=techon-22"  target="_blank">「死ぬのが怖い」とはどういうことか</a>』(講談社)、『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062882388/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4062882388&linkCode=as2&tag=techon-22" target="_blank">幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)</a>』(講談社現代新書)、<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822249948/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822249948&linkCode=as2&tag=techon-22" target="_blank">システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」</a>』(日経BP社)など多数。(写真:稲垣 純也)
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前野 隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。1962年山口生まれ。広島育ち。1984年東京工業大学工学部卒業、1986年東京工業大学理工学研究科修士課程修了、同年キヤノン入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年よりSDM研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990〜1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。著書に『脳は記憶を消したがる』(フォレスト出版)、『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)』(講談社現代新書)、システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』(日経BP社)など多数。(写真:稲垣 純也)

前野 発想はあまり出ないけど、切り口を与えられるとまとめられるとか、得意・不得意の偏りなども分かりますね。

濱口 後半の40分では、前半で考えてもらった分類条件を使ったカオス性の高い要求を投げ掛けます。

 例えば、「あなたのところにクライアントが相談に来ました。そのクライアントは工場を持っていなくて、アイデアだけで運営している会社です。ただし、航空会社にはものすごいコネクションがあって、どんなサービスでも、どんな商品でも売り込むことができます。中国の提携工場を使うことができて、アマゾンのクラウドサービスでどんなウェブサービスでも構築できます。さて、どんな商品を作ったらいいですか。ただし、先ほど考えた分類条件を使って考えてください」というような内容です。

 そして「今からプレゼン資料を作りましょう」とA4の紙を置いておくんですよ。「パソコンはないので手書きで作って、今から20分後にプレゼンしてください」と。

前野 それは、ものすごいパニック状態になりますよね。