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HOME新産業スタートアップVELDT・野々上 仁の「IoTジャーニー」 > 「何でもできるデバイス」は、何にも使われずに消えていく

VELDT・野々上 仁の「IoTジャーニー」

「何でもできるデバイス」は、何にも使われずに消えていく

IoTの“突破法”について「JINS MEME」の井上一鷹氏と語り合う(第1回)

  • 構成:高野 敦
  • 2017/11/10 05:00
  • 1/4ページ

 スマートウオッチ(コネクテッドウオッチ)とその関連サービスを生み出した実績を持つ野々上 仁氏(ヴェルト 代表取締役 CEO)が、さまざまな分野の第一人者とIoTの本質について語り合う本コラム。今回の対談相手は、ジンズの眼鏡型ウエアラブルデバイス「JINS MEME」の開発を指揮する井上一鷹氏(同社 JINS MEMEグループ マネジャー)である。

 眼鏡型ウエアラブルデバイスは世に多く存在するが、JINS MEMEは集中度の計測という他に類を見ない機能で地位を確立した。その経験から、井上氏はIoTにおける一点突破の重要性を指摘する。(進行・構成は高野 敦)

――今回は、ジンズで「JINS MEME」の開発を手掛ける井上さんにご登場いただきました。野々上さんには、そのJINS MEMEをかけて対談に臨んでいただいています。野々上さんは著書『サービスのためのIoTプロダクトのつくり方』でJINS MEMEをIoTの先進的な事例として紹介していますが、どのような点を評価されているのでしょうか。

野々上 JINS MEMEが素晴らしいのは、「集中度を計測する」という目的がはっきりしていることですね。眼鏡型ウエアラブルデバイスはJINS MEMEの他にもたくさんありますが、VR(Virtual Reality)用は別として、着ける目的がよく分からない。極端な話、IoTが目的になってしまっているようなものもあります。

 僕は、IoTのプロダクトやサービスでは、「何のためのIoTか」という視点がとても大事だと思っています。その点、JINS MEMEは集中度を計測することで自分自身を知るというコンセプトが明確ですから、そこが他の眼鏡型ウエアラブルデバイスとは全く違いますね。

井上 そう言っていただけると嬉しいです。

野々上 集中度を計測するという発想は、どこから出てきたんですか。

井上一鷹氏
井上一鷹(いのうえ・かずたか)
ジンズ JINS MEMEグループ マネジャー。1983年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、アーサー・D・リトルに入社。大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。2012年にジンズに入社。社長室、商品企画グループマネジャーを経て現職。学生時代に算数オリンピックアジア4位、数学オリンピック日本最終選考に進んだ経験がある。(写真:加藤 康)

井上 ジンズがまだ一介の眼鏡メーカーで、それこそウエアラブルやIoTといった言葉を知らなかった時代に、眼鏡で何か新しいことができないかということを模索すべく、できるだけ遠い分野の研究者をとにかくドアノックしたんです。当時はそれを社長(田中 仁氏)が自分でやっていて、あるとき東北大学の川島隆太先生にお会いしたんですね。川島先生といえば、ニンテンドーDSの「脳トレ(脳を鍛える大人のDSトレーニング)」が有名ですが、それこそ最初は「頭が良くなる眼鏡を作ってほしい」とお願いしたらしいです(笑)。

野々上 頭が良くなる眼鏡は欲しいですね(笑)。

井上 さすがに頭が良くなる眼鏡は難しかったと思いますが、そのときに川島先生が「眼鏡の強みは、たぶんパンツの次に着けている時間が長いことだろう」と仰ったんです。これがイノベーションの源泉といいますか、眼鏡の再定義につながったと僕らは思っています。

 眼鏡メーカーの人間は、そんなふうに眼鏡を見ていないんですね。眼鏡というのは、外を見るための補助具だと思っている。どう補助するか、サポートするかということばかり考えているんです。だけど眼鏡とあまり関係のない分野の方、それも川島先生ぐらい物事を考えている方が、そう捉えたわけです。外を見るための補助具ではなく、人の体にずっと触れているデバイスという特徴が浮かび上がってきた。しかも、頭部という大事なデータが詰まっているところに触れているのだから、やれることがいくらでもあるのではないかという話になりました。

 それまで全く考えたこともありませんでしたが、取りあえずセンサーを入れてみることから始めてみました。そういう意味では、完全なマーケットインではありません。それでも、眼鏡というデバイスをどう捉え直すかというスタンスとしては結構正しかったのではないかと思っています。

野々上 眼鏡に対する見方がガラリと変わったわけですね。素晴らしい。

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