国際標準化機構(ISO)という団体があります。スイスのジュネーブに本部を置き、158カ国の国を代表する標準化機関が会員となっています。電気および電子技術分野を除く全産業分野における国際標準化を進める活動をしている団体です。

 国際標準化活動の重要性が増したのは、1995年のWTO/TBT協定の発効があり、規制や規格が各国で異なることによって生ずる国際貿易の障壁を排除しようとする動きが高まったことによります。WTO(World Trade Organization)とTBT(Technical Barriers to Trade)は、それぞれが「世界貿易機関」、「貿易の技術的障害に関する協定」のことで、1995年1月にWTO協定にTBTが正式に包含されたのです。

 この協定に批准しますと、国内の技術的法規制や関連するJIS(日本工業規格)を国際標準に整合させる必要が無くなるのと同時に、国際標準に整合していない製品の輸出は困難になってしまいました。つまり、国際標準に整合していない製品は、国際的展開はもちろん、国内の規格も国際標準に整合化されることが条件となるので、結果として国内でも規格外として使えない状態になったのです。

 さらには、新しい技術を開発しても、別の技術を基に開発された製品が国際標準化すると、その新しい技術を使った製品は結果として流通させることができなくなり、この技術を開発した意味が無くなるという、何とも悩ましいことになってしまいます。しかし、この国際標準化の動きに慣れて、積極的に国際標準化の流れに乗れば、自分たちの技術を国際標準化することで、国際市場において極めて強い競争力を保持することになるのです。

 このように、今や国際標準化という潮流は、産業分野を問わず、これからの企業経営における最も重要かつ喫緊の課題と言えるでしょう。