スーパー電波望遠鏡「アルマ(ALMA)」。南米チリ、アンデス山脈のアタカマ砂漠。海抜5000mの高地に設置された、全66台のパラボラアンテナで構成される世界最高の巨大電波望遠鏡である。
アルマ望遠鏡は人類が創り出した、宇宙を見る、知る、最大の眼だ。
2013年3月の開所式からやがて5年。
アルマは、期待以上の成果、宇宙の成り立ちを明かし続けてくれている。
それは、「私はどこから来たのか?」「私を作っている物質はどう生成されたのか?」、つまるところ「私とは何か?」という究極の問の答が続々と出ていることを意味する。
「私とは何か?」は長いこと哲学の根本的な問だったが、その答を天文学という科学が、それを支えるとてつもない「ものづくり」がもたらしてくれる時代に立ち会えたことは、大きな幸運だと思わずにはいられない。
だからこそ、アルマとは何か、どう創造されたのかの「技術」を知りたかった。
最も困難な「バンド10」受信機に挑んだ天文学者
およそ10年前の2008年6月、アルマプロジェクトを率いる第2世代の天文学者である井口聖さん(アルマ計画、東アジア・プロジェクトマネージャ)と立松健一さん(アルマ推進室長、現・野辺山宇宙電波観測所長)を国立天文台(東京三鷹市)訪ね、計画の進捗状況を聞いた。