前編に続き、かつてパナソニックのインド現地法人社長として同地の事業を軌道に乗せ、現在はパナソニックのインド、南アジア、中近東、アフリカの海外事業を統括する伊東大三氏のインタビューを掲載する。
今回の後編では、前編の最後で話題に上った「インド イノベーションセンター」での人材活用の取り組みや、現地法人における権限委譲の考え方、今後力を注ぐというアフリカ事業の見通しなどを聞いた。(聞き手は松元則雄)
――インドイノベーションセンター注1)は、現地のエンジニアや、工学系大学の卒業生の受け皿として、現地人材の活用を進める組織の1つだとお聞きしました。イノベーションセンターについて詳しく教えてください。
インドイノベーションセンターには3つの組織があります。オープンイノベーション推進部門、技術開発部門、イノベーティブ事業創造部門です。
そのうちオープンイノベーション推進部門は、スタートアップやベンチャーを対象とした協業や支援を行う部門です。インドの優秀な人材をここで有効活用したい。ここにはスタートアップやベンチャーから様々なアイデアが集まってきます。具体的には、インド人がインド人のニーズに合わせて開発した技術やサービスです。
こうして集まったアイデアに対して、1人の日本人技術者と現地の研究員らがデザイン思考で事業としての将来性などを検討します。そこでいけると判断したら本格的な開発に進む。最終判断は私とManish(Panasonic India社 CEOのManish Sharma氏)がします。
成功するのは1000個のアイデアの中の3つくらいだと思っています。しかし、当たれば大きい。インドは13億人の市場ですから、成功したら利益は日本より2桁くらい多くなる。問題は 、当たるかどうかは日本人では判断できないことです。だからインド人にやってもらいます。