連載主旨
 近年、グローバル図面の視点から幾何公差の必要性が問われ、多くのものづくり企業が急速に図面の転換を図っています。しかしそこでは、検査工数の増加、測定方法が分からないなどのデメリットも多く見受けられます。
 その原因の一つが、単に従来の図面から幾何公差に置き換えている事例が多いからです。幾何公差の本来の目的は、設計意図を的確に表現することです。そのためには、再度公差設計から見直してみる必要があります。
 本連載では、GD&T(Geometric dimensioning and tolerancing)と言われる「公差設計と幾何公差」の理想的な関係性、ひいては設計の神髄を語ります。
木下 悟志(きのした さとし)
プラーナー シニアコンサルタント
木下 悟志(きのした さとし) 1956年、長野県生まれ。セイコーエプソンに34年間勤務。
プラスチック応用の開発経験が長く、非球面レンズや超小型ギヤードモーターの開発から量産、マーケティングまで経験した。また、基幹商品であるウォッチ、インクジェットプリンタ、プロジェクターの要素開発にも長く関わった。近年は研究開発部門のマネージメントにおいて開発の意思決定や外部との共同研究・共同開発の方向付けを行った。材料開発から機構設計、プロセス開発、計測技術開発まで幅広い知見を持つ。
2015年より、設計者の能力開発を支援するプラーナーのシニアコンサルタントとして、幾何公差と計測技術を融合したセミナーを創出して担当している。大手企業を中心に多数の企業でセミナーを担当し、実践コンサルティングも行っている。