NBAは試合映像をAmazon傘下で配信

 一方、別のアプローチで若者層へのアプローチを図っているのが北米プロバスケットボールNBAだ。12月13日、傘下のマイナーリーグ、Gリーグ(ゲータレード・リーグ)の試合を米Amazon.com社傘下のストリーミングサービス「Twitch」で配信すると発表した。12月15日から毎週6試合の配信が開始されたのである。

 Twitchはこれまでeスポーツを始め、ビデオゲームのプレー映像を専門に配信してきた。当然利用者の多くが若者層で占められており、1日のアクティブユーザー数は1500万人に上る。そうした層にリーチすることを目的とした“実験”なのだ。

 配信する試合中継も、試合データをインタラクティブに表示できたり、グループチャットなどTwitchユーザーに合わせた機能を設けたりしている。さらに通常の実況・解説だけでなく、120万人のフォロワーを持つようなTwitchの人気パーソナリティを起用し、音声などでユーザーとコミュニケーションを取りながら配信するバージョンも制作されている。ログインごとにユーザーにポイントが与えられ、獲得ポイント上位者に賞品が贈られるポイントプログラムも実施中だ。

選手を使って製品開発

 Gリーグは以前、NBAデベロップメント・リーグ(Dリーグ)と呼ばれていたが、2017年にスポーツ飲料ブランドの「ゲータレード」がスポンサー契約を結び、名称がゲータレード・リーグに改称された。ゲータレードが選手たちを使って製品開発に取り組むなど、様々なアプローチを試みる場となっている。

 Twitch コンテンツ部門のマイケル・ラゴン上級副社長は「NBAのチームは1日でTwitchの全てを理解しました。我々は伝統的なテレビでのスポーツ体験ではありません。放送局から従業員コミュニティー、皆が結集して作るインタラクティブな製品に至るまで、チームとのコラボレーションは世界中のバスケットボールファンに特別な体験をもたらすでしょう。NBA Gリーグと協力していることに興奮しており、大手スポーツへのソーシャルビデオに影響を与えることを楽しみにしています」と意気込みを語っている。TwitchはNBA以外のスポーツコンテンツの配信にも興味を示しており、ビデオゲームの枠を超えた事業の拡大が予想される。

 米Netflix社に代表される「OTT(over the top)」と呼ばれるネット配信事業が世界的に普及・拡大するなかで、スポーツコンテンツに関してはこれからも様々な試みが続いていきそうだ。