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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

ボールトラッキングに6秒CM・・・NFL繰り出す新機軸

2017/10/02 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 世界最大の売り上げを誇るプロスポーツリーグが、今年も幕を開けた。2017年9月7日、米プロアメリカンフットボールNFLのシーズンが始まった。2018年2月4日に開催予定の「第52回スーパーボウル」に向けた熱戦が繰り広げられている。

 そんなNFLでは、今年もビジネス、テクノロジー面で新たな取り組みがいくつも行われている。特に注目のトピックを紹介しよう。

RFIDでボールの動きをトラッキング

 まず、テクノロジー面でのトピックは、試合で使用されるボールの全てにRFIDタグが挿入されるようになったことだ。これはNFLと契約するデータ調査会社米Zebra Technologies社と、公式ボールを提供する米Wilson Sporting Goods社による取り組み。ボールの速度、移動距離、回転数などが毎秒25回計測され、データが送信される仕組みだ。

NFLの公式ボールに挿入されるRFIDを使った計測システムを開発するZebra Technologies社のWebページ(図:Zebra Technologies社)
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 Zebra Technologies社は4年前から全選手のショルダー・パッドに同様のRFIDタグを装着し、速度や加速度、走路などを計測している。計測されたデータは新世代のデータ「ネクスト・ジェン・スタッツ」という名称でテレビ中継やWebサイトで使用されているが、どこまで公表すべきかというチームやリーグの思惑もあり、実際計測されているもののうち、公開されているのデータは全体の10分の1ほどに留まっているのが実状だ。

 今後、ウエアラブル端末を使ったデータ収集を巡る議論は続きそうである。その一方でリーグに留まらず、NFL選手会が独自に計測会社米Whoop社と提携したほか、20チーム以上がGPSを使ったウエアラブル計測システムの米Catapult USA社やSTATSports社と契約するなど、導入が急速に進んでいる。

NFLがeスポーツに参入

 近年注目度を高めているeスポーツの分野でも動きがある。NFLは米Electronic Arts(EA)社と提携し、EAが販売するNFLを題材とした人気ゲームシリーズ、マッデンの最新作「マッデンNFL18」を使ったeスポーツイベント「マッデンNFLクラブ・チャンピオンシップ」を開催中だ。

Electronic Arts社のゲーム「マッデンNFL18」(図:Electronic Arts Inc.)
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 全32チームが参加し、まず各チームがそれぞれ、チームが推す複数のゲーマーの中からチーム代表を決めるトーナメント戦を実施。その後、各チームの代表による32人のプレーヤーが決勝トーナメントで競う。米プロスポーツの中でも保守的とされるNFLは、17チームが参加するリーグを起ち上げたプロバスケットボールNBAなどに比べeスポーツへの参入が遅れていたが、全チームが参加する大会の開催で一挙に巻き返しを図った形である。

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