チケット販売で斬新な取り組み

 ホットドックは2ドル、生ビール「バド・ライト」は5ドル・・・。「ファン・ファースト・メニュー・プライシング」をうたい、場内で販売する飲食物の価格をNFL最低クラスに設定した点も、メルセデス・ベンツ・スタジアムの特徴だ。場内で販売する飲食などの価格を高めに設定する通常の戦略とは真逆のアプローチである。

 チケット販売で斬新な取り組みをしているのがニューヨーク・ジェッツである。そのチーム名にちなみ、「ジェッツ・ボーディングパス」と名付けられたシーズンチケットがそれだ。725ドルで販売されたこのジェッツ・ボーディングパスは、プレシーズン2試合、レギュラーシーズン8試合というホームゲーム全てを観戦できることは一般のシーズンチケットと変わらない。

 しかし、普通なら毎試合同じ席で観戦するが、このチケットは毎試合席の位置が変わるのである。しかもモバイル・アプリ専用チケットとなっており、毎試合スタジアムのゲートに来て初めて、その試合の座席位置が表示される仕組みだ。

 ジェッツ・ボーディングパスのうたい文句では、50ヤード付近の最前列から2~3階スタンドまで座席が割り振られる可能性があるという。1000ドルを超えるような高額のクラブシートが割り当てられることもあるのだとか。システム的には残っているチケットをリアルタイムに割り振って活用できるわけで、まさにネットとモバイル端末時代ならではのチケット販売方法だと言えよう。

 ただ、ファンとしては不安な気持ちを抱く懸念もある。ジェッツのマーケティングとファンエンゲージメント部門セス・ロビノウイッツ上級副社長はこのシステムに関して「少し冒険の要素はある。我々はそれも楽しさの一部だと考える」とコメントしている。なお、販売結果については公表されていない。