スポーツ観戦に出かけると、チケット代以外に交通費や飲食、物販など意外にお金がかかると感じる方も多いのではないか。それは米国でも同じで、スポーツ関係の調査を行う米チーム・マーケティング・レポートは2018年4月23日、大リーグMLBの各スタジアムで観戦したら幾らぐらいが必要かを示した「ファン・コスト・インデックス(FCI)2018年版」を発表した。

米チーム・マーケティング・レポートが発表した「ファン・コスト・インデックス(FCI)2018年版」。大リーグMLBの各スタジアムで4人家族で観戦したら幾らぐらいが必要かを示している(図:チーム・スポーツ・マーケティング)
米チーム・マーケティング・レポートが発表した「ファン・コスト・インデックス(FCI)2018年版」。大リーグMLBの各スタジアムで4人家族で観戦したら幾らぐらいが必要かを示している(図:チーム・スポーツ・マーケティング)
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 FCIは4人家族が観戦する想定で、平均価格のチケット4枚、ソフトドリンク4杯、ホットドッグ4本、2杯のビール、2つの帽子、さらに駐車料金1台分の価格を合計したもの。どれぐらいかかるかが実感できる指標であると同時に、スタジアム運営のビジネス指針が見える指標となっている。

 今回、MLBの30スタジアムにおけるFCIの平均は230.98ドルだった。1ドル109円換算で約2万5000円である。内訳は、チケット代が32.44ドル、ビールが5.98ドル、ソフトドリンクが4.65ドル、ホットドッグが5.01ドル、駐車場代が15.42ドル、帽子が17.62ドルである。

 FCIが最も高かったのはシカゴ・カブスで368.28ドルとなっている。チケットの平均価格が58.57ドルと全チームの中で最も高額だったことが要因となった。2位はボストン・レッドソックスの345.88ドルで、3位はニューヨーク・ヤンキースの301.46ドルだった。300ドルを超えたのはこの3チームだけだが、200ドル以上は全体の3分の2を超える21チームとなった。

駐車場代は大きな収益源

 対して、最もFCIが低かったのはアリゾナ・ダイヤモンドバックスで145.58ドルである。これはカブスの半分以下だ。これはやはりチケット代が19.65ドルと最も低いことが大きい。2番目に低いのはタンパベイ・レイズの156.4ドル、3番目はピッツバーグ・パイレーツの178.72ドルとなっている。

 各項目に注目すると、さらに興味深いことが分かる。まずチケットの平均価格だが、これはシーズンチケットの平均価格から、さらに1試合分を算定したものとなっている。近年、低価格の席を設定するチームもあり、低く算出されることが多いのだ。また豪華でサービスの付いたプレミアム席も流行しているが、FCIではプレミアム・チケットは別に示されている。それによればプレミアム・チケットの平均価格が最も高いのはヤンキースで346.53ドル、平均は114.5ドルだった。

 さらに米国ではチケットの二次流通が一般化しており、その流通価格は人気で変動する。例えば、ヤンキースのホーム開幕戦のチケットは平均218ドルで取引されていた。実体としては、FCIのよりもかなり高いチケット代を負担することになる試合も多いのである。

 価格に大きな差があったのが駐車場代だ。ヤンキースが最も高い35ドルを付けているのに対し、レイズは駐車場代を取っていない。ただ、駐車場代が20ドル以上のチームが9あり、10ドル未満は4チームしかない。米国では車で観戦に行くことが多いこともあって駐車場代が大きな収益源として設定されていることが分かる。2016年のデータだが、プロアメリカンフットボールNFLのダラス・カウボーイズが1台75ドルに設定した例もあった。