CM枠削減の提案

 次に挙げられた施策が、試合残り時間の計時に関するルールだ。得点後、次のキックオフまで計時を止めないなど、細かな試合時間の削減策が導入に向けて検討されている。

3時間超の試合でも、正味のプレー時間は何と「11分程度」という調査結果もある(写真:NFL)
3時間超の試合でも、正味のプレー時間は何と「11分程度」という調査結果もある(写真:NFL)
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 対して、ビジネス的に大きな挑戦となりそうなのが、テレビ中継内で放送されるCM枠の削減だ。これまでNFLのレギュラーシーズンで1試合に放送されるCM枠数は通常21だった。これを1クオーターあたり4つ、合計16にまで減らそうというのである。

 削減の対象候補として、特に有力視されているのが得点後の放送パターンだ。得点に関連した一連のプレーが終わると約2分間のCM枠が入り、それが終わると続く1分ほどのキックオフのプレーが放送される。そしてキックオフが終わるとさらにCM枠が入ってくることが多い。つまりファンは約5分間の内、プレーを見るのはキックオフの1分だけで、残りの4分はCMを見せられている。そこでどちらかのCM枠を減らしてはどうか、という提案だ。

 ただCMは、試合を放送するテレビ局にとって重要な収入源である。1試合平均70前後のCMが放送されてきたが、放送数が減れば収益減に直結しかねない。そこで提案されているのが、放送するCM枠の数は減らすものの、1つのCM枠の長さを伸ばす案だ。30秒程度長くなっても、消費者はあまり気にしないだろうという判断だ。

 その一方でコミッショナーは、米国では一般的な30秒というCMの長さをより短くすることにも触れていたが、その実現へのハードルは高そうだ。

 これらの改革によって、グッテルコミッショナーは「約5分間の試合時間の短縮が実現する」としている。いずれにせよ、NFLが真剣に試合時間の短縮に取り組む姿勢が強く示されたのは印象的だった。

 試合時間が長いという課題に関してはNFLのみならず、MLBなどでも様々な議論、試行が行われている。ファンにとってどのような長さ、試合進行だと魅力的なコンテンツとして捉えられるのか、今後も様々なスポーツで議論が続きそうだ。