【創業】1970年
【資本金】7996万円
【代表】代表取締役 戸田 拓夫
【社員数】260人
【住所】広島県福山市御幸町中津原1808-1
【得意な微細加工】メタルインジェクションモールディング、微細成形金型、微細成形加工
親指より小さい、本当に切れるハサミを実現
キャステムは広島県福山市に本社工場を置き、ロストワックス精密鋳造とメタルインジェクション(MIM)による精密金属部品メーカーです。工作機器や産業用自動機、半導体関連、医療機器などあらゆる産業の金属部品を製造しています。
MIMは本コラム第27回でも説明した通り、材料となる金属粉末にバインダーと呼ばれる樹脂粉末を混ぜ、加熱してバインダーを溶融させた状態で練り混ぜ、均質な粒状に整えた材料を、射出成形機で金型に入れる成形法です。樹脂射出成形と似ていますが、成形後にワークを加熱炉に入れてバインダーを除去し(脱脂工程)、さらに温度を上昇させて金属粉末を固めます(焼結工程)。
同社はこのMIM技術を米国からの技術輸入に頼ることなく独自に研究開発を進め、1991年には米国で特許取得し製法を完成させました。2009年頃に安田工業製ジグボーラー「YBM640V」を導入したのを皮切りに微細形状のMIM製品を本格化し、社内での金型製作の研修を含めた取り組みとして製作を開始したのが、ミニチュア工具セット名刺入れです(図1)。
アルミアタッシュケース型の名刺入れに、ハサミやノギスなど全11種類のミニチュア工具が入っています。工具は、全て本物と同じ材質で、同じように動かせるようにこだわって製作しています(図2)。ノギスは実際に測定することができますし、ハサミも非常に小さいながら実際に紙を切ることができます。
さらに同社では展示会で配布するノベルティを検討する際、「ミニチュア工具よりもさらに小さなノギスをつくろう」という企画が持ち上がりました。配布するなら名刺にはめ込めるサイズにしよう、と生まれたのが“ミニミニノギス”です(図3)。非常に小さいながらも1~8mmまで目盛りと文字の刻印がなされており、裏面に社名刻印があって、デプス測定機能も備わっているというこだわり方です。