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アフター2020、未来からの逆算

スポーツを通じて日本を改革する、私は本気です

ドームが考えるスポーツ産業化への道(その1)

2017/08/23 05:00

三沢 英生=ドーム 取締役

経済産業省とスポーツ庁が立ち上げた「スポーツ未来開拓会議」。日本のスポーツ産業活性化を目指す有識者会議に参加する13人の委員に、ひときわ異彩を放つ男がいる。三沢英生氏。米アンダーアーマー社の日本総代理店であるドームの取締役である。会議ではいつも熱い言葉を放ち、時には激しい議論もいとわない。自らが正しいと思う意見は絶対に妥協しない。それは、日本のスポーツを改革したい一心からだ。その三沢氏は何を考え、旧態依然のスポーツ界をどう改革し、どのような未来を築いていこうとしているのか――。

スポーツで日本は変わる

 私には、信念があります。

 それは「日本国内に蔓延する停滞感を打破するのは、スポーツしかない!」ということです。「えぇー? スポーツで?」と思われる人は多いかもしれません。大風呂敷に聞こえるでしょうけれど、この信念には確信があります。私自身が今、身をもって大きなうねりを体感しているからです。

ドーム 取締役の三沢英生氏

 「スポーツで本当に日本が変わるのか」という疑問を持つ方がいることは理解できます。例えば、政府は、スポーツ産業の活性化に向けて2025年までにスポーツ産業の市場規模を15.2兆円にする目標を掲げています。2012年時点の市場規模は5.5兆円ですから約3倍に当たります。でも、スポーツ産業の持つポテンシャルからすれば、この数字は十分達成可能なのです。

 米国のスポーツ産業の市場は2010年には同国の自動車産業の規模を上回り、今や60兆円産業。近い将来、100兆円産業になると言われています。一方、日本では5兆円程度の産業規模で停滞しています。

 米国と比較し、日本が5.5兆円は少なすぎるだろう。とりあえず、日本の経済規模は米国の3分の1だから、30兆円くらいを目指してもいいのではないか。でも、急には難しいので、とりあえずは15兆円と言っておこう——。現状を鑑みれば、15兆円でも十分意欲的な目標と言えます。

やり方次第で15兆円を超える

 では、2025年に15兆円という数字は夢物語なのでしょうか。いえ、決して夢の話ではありません。あまり知られていないことですが、そもそも1995年時点で米国のスポーツ産業の市場規模は約18兆円で日本の3倍ほどでした。人口もGDPも米国が日本の3倍程度であることを考えると、同規模程度の産業といえます。しかし、それから20年ほどで先ほど話したような差が開きました。それを考えれば、日本のスポーツ産業が15兆円以上の数字になることだってあり得ると私は考えています。やり方次第です。ただ、今の延長線上では15兆円の実現が難しいのは事実でしょう。

 その大きな理由の1つに、人的な課題があります。例えば、五輪関連で噴出する課題についての報道を見て、多くの日本人はこう感じているでしょう。「東京五輪の責任者は誰なんだ?」と。組織委員会の会長なのか、はたまた東京都知事なのか、東京五輪・パラリンピック担当大臣なのか、スポーツ庁長官なのか。どこの誰に責任があるのか、さっぱり分かりません。

 そもそも大会のビジョンが不透明である上、ビジョンに向かって突き進んでいる様子が全く見えません。例えば東京五輪・パラリンピックの黒字化を目標として定め、適切なリーダーシップの下、ヒト、モノ、カネのリソースを集中させてみてはどうでしょう。このように明確なビジョンも適切なリーダーシップも無い状態は東京五輪に限らず、日本中の他の分野で起きていることなのです。

 現在の東京五輪の取り組みは、責任やミッションが不明確なものが多すぎるように感じます。開催まであと3年に迫った今に至っても、「ああでもない、こうでもない」の繰り返しや「みんなで頑張ろう」という精神論だけが語られ、行き着く先は予算を巡る縄張り争い。残念ですが、これが日本の現状です。これで、どんな五輪のレガシーを残すというのでしょうか。

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