ディスプレーの国際カンファレンス「Display Innovation CHINA 2017/Beijing Summit」(2017年10月16~17日、中国・北京)の2日目は、ディスプレー製造に関わる製造装置メーカーと部品・材料メーカーが数多く登壇した。現在のディスプレー業界は「フレキシブル有機EL」の話題一色の様相である。そこで、有機EL関連の部材に関して今後の期待度が高かった2件の内容を紹介する。1つは、JXTGエネルギーの有機ELディスプレー向け反射防止フィルム。もう1つは、中国Kangde Xin Composite Material社(KDX、康得新)の封止フィルムである。
ナノインプリントによる第3世代の反射防止位相差板
JXTGエネルギー 機能材カンパニー 機能材事業化推進副部長の西村涼氏は、有機ELディスプレー用の反射防止材料として、ナノインプリント技術を使った新しい位相差フィルムの詳細について講演した(図1)。
この位相差フィルムは、ナノインプリントで微細構造を変化させるだけで波長分散を自由に設計できる。有機ELの反射防止フィルムに適用すれば、従来のフィルム技術のように高価な樹脂材料や液晶材料の物性に頼らずに、反射光をカットし、理想に近い黒表示を得られる。視野角特性も優れ、フィルム枚数も1枚で済むため、薄型化が可能である(図2)。JXTGエネルギーは、会場に設けられた展示コーナーで、この技術を展示した(図3)。