新幹線のパワーエレクトロニクス進化の歴史
目次
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新幹線にいよいよSiCが搭載、「標準車両」の実現に寄与
SiC採用の次世代新幹線「N700S」はなぜ誕生したのか【第4回】
700系までのCIには、UVWのインバータとUVのコンバータで五つのユニットがある(図26)。よく故障したため、個別に取り換えられるように工夫してあった。しかし、個別に取り外しできる装置構成にすると、その分だけ複雑になっていた。故障率が減ってくると、個別に分ける必要がなくなる。そのため、コンバータと…
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新幹線のパワーデバイス、GTOからIGBTの時代へ
SiC採用の次世代新幹線「N700S」はなぜ誕生したのか【第3回】
GTOの時代が長く続いたあと、700系の時にIGBT素子が出てきた。IGBTの魅力は、高いスイッチング周波数だ。スイッチング周波数が小さいとノイズが出る。静粛性はお客様へのサービスとして重要で、車内騒音や各電子機器に対するノイズもGTO時代は非常に神経を使っていた。スイッチング周波数が420Hzから…
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電力変換器の小型軽量化や回生ブレーキで新幹線が進化
SiC採用の次世代新幹線「N700S」はなぜ誕生したのか【第2回】
新幹線の架線は、少し特殊で2万5000Vの単相交流だ。新幹線1編成(16両)では、2万5000V・1000Aを上限とし、パンタグラフで集電し、トランスで電圧を下げる。これをわざわざコンバータで直流に変え、インバータで三相交流を作ってモーターを駆動する。この構造で基本的に4個のモーターを駆動する。回生…
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国鉄分割民営化を契機に、新幹線は生まれ変わった
SiC採用の次世代新幹線「N700S」はなぜ誕生したのか【第1回】
2016年6月、東海旅客鉄道(JR東海)は新幹線車両を13年ぶりに全面改良すると発表した。現行新幹線車両「N700」系に代わる新しい車両の名称は「N700S」(図1)。“S”は、「最高」「至高」という意味の「Supreme(スプリーム)」を表す。現在はまだ試験車両の製作段階だが、2018年3月には完…