外国人の悩みを体験

 図2に示す矢印に沿って、接続詞①②③を埋めてみてください。

図2●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印
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図2●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印

 できましたか。それでは、解答します。①「だから」、②「しかし」、③「しかも」の順で接続詞を代入できたと思います。簡単ですよね。

 同様に、図3に示す矢印に沿って、接続詞④⑤⑥を埋めてみてください。

図3●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印(その2)
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図3●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印(その2)

 できましたか。では、解答します。④「しかし」、⑤「しかも」、⑥「だから」です。簡単に代入できたでしょうか。難しく感じますよね。矢印の向きが変わっただけなのに、頭が混乱したはずです。これが、外国人の1つめの悩みです。

もう一度、右から左へ流れる文章を思い出そう

 続いて、図4に示す矢印に沿って、⑦のマスに入る文章を考えてください。

図4●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印(その3)
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図4●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印(その3)

 できましたか。それでは、解答します。⑦「昨日の弁当は美味かった!」です。一体何の実験なのかと思うかもしれませんが、もう少し我慢してください。

 最後の実験です。しつこいですが、もう1度、図5の⑧の文章を埋めてください。

図5●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印(その4)
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図5●外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印(その4)

それでは、解答します。⑧「昨日の弁当は超まずかった!」です。

 実は、図中における左側の3つの文章は図4図5も変わりません。矢印の意味が、いかようにも解釈できてしまうことに気がつきましたか。

 矢印の解釈が一様に決まらないという点が、外国人技術者の2つめの悩みです。彼らにとってはこちらの方がやっかいです。本来、矢印とは道路標識や非常口を案内する方向を示すもの、または因果関係を表現します。因果関係とは、原因と結果、過去と現在の関係です。そのため、私はクライアント企業に対してQC矢印の使用は厳禁だと指導しています。

 次回は、技術論文におけるタイトルの重要性を取り上げます。