かつて世界をリードしてきた日本の科学が危機に瀕している。日本のハイテク産業からイノベーションが生まれなくなり、世界に取り残されようとしている。

 イノベーション理論と物性物理学を専門とする京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授の山口栄一氏は、新著『物理学者の墓を訪ねる ひらめきの秘密を求めて』(日経BP社)において、アイザック・ニュートンやエルヴィン・シュレーディンガー、湯川秀樹らが世紀の大発見に至るプロセスに、「墓」を訪ねるというアプローチで迫った。偉大な物理学者たちの足跡からは、イノベーションの危機を生み出した現代の構造的な要因や、日本の科学再生に向けたヒントが浮かび上がってくる。

 「沈みゆく日本」を救うために、何ができるのか。科学とイノベーションの最先端を行く“賢人”たちと山口氏が意見を交わし、日本の現状と未来について共に考える。