日系メーカーは、対策を考える時期が来た

 長安汽車は、2020年に20万~30万台、2025年に50万台以上の自動車を輸出する計画だ。2017年第1四半期に南米ペルーで767台の自動車を販売し、現地市場の1.8%を占めた。現在、長安自動車はペルーで9車種を販売しており、2017年に3列シートのSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)車を発売する予定である。さらに、長安汽車はブラジルに自動車工場を立ち上げる計画を推進している。同時に、東南アジア、南米でもパートナー企業を探して現地で自動車CKD(完全ノックダウン、Complete Knock Down) 生産を考えている。

長安汽車は、米インテル社とスマートカーに関して合意した
長安汽車は、米インテル社とスマートカーに関して合意した
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長安汽車が上海モーターショーで展示した電気自動車
長安汽車が上海モーターショーで展示した電気自動車
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 第一汽車は2017年4月にロシアのモスクワでSUV「奔騰X80」発表会を開催した。この車はロシアでノックダウン生産したクルマで、2017年度の販売目標を1000台としている。同社はこの他にも、イランやパキスタン、南アフリカ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、カザフスタン、ケニア、ナイジェリア、メキシコでもノックダウン生産工場を保有している。

 東風汽車は、これから5年で70カ国・地域に40車種を販売する計画で、2020年の輸出台数の目標値を15万台としている。例えば、ロシアには販売会社の「東風ロシア社」を立ち上げた。ナイジェリアではOEM生産を進めており、同国には累計10万台の車を販売している。イランでは、複数のノックダウン生産工場を持ち、輸入販売と現地生産の両方を推進している。

 中国の自動車メーカーは、北米や欧州、日本といった自動車先進市場にはまだ本格的に進出していないものの、南米やアフリカ、中東などの大きな成長の可能性を持つエマージング市場には注力し始めている。日本の自動車メーカーには、中国自動車メーカーのこの動きを真剣に受け止めて、対策を考える時期が来たと言えるだろう。