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 小型エネルギーデバイスの用途開拓プロジェクトで活用する蓄電デバイスは、村田製作所が開発したリチウムイオン二次電池の一種である。最大の特徴は、負極にチタン酸リチウム(LTO)と呼ぶ材料を使っていること。

 これにより、熱暴走しない高い安全性と1000回を超える長寿命を確保しつつ、急速充放電は可能である。そのため、電気2重層キャパシタのように利用できながら、キャパシタに比べて漏れ電流が少なく、容量が大きいのが利点だ。

 従来のキャパシタは、機器に組み込んで利用する際に電圧を規定以上にするために、予備充電が必要だった。だが、このデバイスは一定の電圧があることから、組み込んですぐに利用できる。ウエアラブルやエネルギーハーベスティングといった分野の低電力機器での利用が期待されている。

 村田製作所では現在、シリンダー型とラミネート型の2種類を量産している。最大の特徴はわずか1分で容量27~37%の容量を急速充電できること。容量の80%までを充電する時間は3~4分で済む。両デバイス共に公称電圧は2.3Vで、動作温度範囲は-20~+70℃。

 シリンダー型は直径4mm×長さ12mmで容量3mA時。最大30mAの放電が可能である。サイクル特性は1500回の充放電を繰り返した後でも90%以上の容量を維持できる。一方、ラミネート型は外形が21mm×14mm×2mmで容量12mA時。最大120mAの放電が可能。サイクル特性は5000回の充放電を繰り返した後でも90%以上の容量を維持する。

小型エネルギーデバイスの仕様
小型エネルギーデバイスの仕様
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 このエネルギーデバイスを活用し、多彩な商品を企画したい、あるいは小型モジュールを開発したいという企業を開拓する。