図1 eSIMのポイント(写真:GSMAの資料)
図1 eSIMのポイント(写真:GSMAの資料)
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図2 eSIMの動作アーキテクチャー(写真:GSMAの資料)
図2 eSIMの動作アーキテクチャー(写真:GSMAの資料)
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図3 従来型SIMとeSIMを使った機器の製造モデルの違い(写真:GSMAの資料)
図3 従来型SIMとeSIMを使った機器の製造モデルの違い(写真:GSMAの資料)
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 Embedded SIMとも呼ぶ。今後市場の拡大が予想されるM2M(Machine to Machine)向け通信用のSIMの仕様である。スマートフォンなどに使われる現在のSIMとは異なり、着脱できないのが特徴(図1)。小型であり、内蔵基板に直接実装する。機能やセキュリティー強度などは従来のSIMと同じである。自動車や火災報知器、農業用センサーなど、SIMの交換が難しく、世界各国に向けて大量に販売される機器に搭載することを想定している。

 eSIMは、SIMカードの交換ができない仕様であるため、遠隔から契約事業者情報を書き換えられる仕組みが用意される。例えば、日本でeSIMを埋め込んだ機器を製造し、A国でこの機器に電源を入れるとA国の移動通信事業者の情報が書き込まれサービスを利用できるようになる。A国内にeSIMに対応した複数の移動通信事業者がある場合、オンラインでユーザーが最適な事業者を選択したり、移動通信事業者を乗り換えたりすることも、仕様上は可能である。同様にB国に移動した際には、A国の移動通信事業者からB国の移動通信事業者に乗り換えることができる。また、機器を転売する際などには、SIMカードを抜くかのようにオンラインで利用停止が可能である。

 このオンラインでの移動通信事業者の乗り換えや利用停止は、移動通信事業者間の相互接続ネットワーク内に「Subscription Manager」という事業者を設置することで実現している(図2)。eSIM内にはこのSubscription Managerへの接続情報が入っており、機器に初めて電源を投入した際に、まず最初にここにに接続する。この接続したSubscription Managerのサーバーから、eSIM内に契約事業者の情報が書き込まれる。その後は契約事業者に接続するようになる。現行の契約を解約後は、やはりSubscription Managerに接続するようになっている。つまり、eSIMにはSibscription Managerの事業者情報がまずあり、普通のSIMにある契約者情報を動的に変更できるようになっているわけだ。

 こうした仕組みであるため、機器メーカーはeSIM搭載の機器を通信事業者との契約を意識せず製造し、世界中で販売ができるようになる。日本では、NTTドコモが2014年6月に海外通信事業者の情報の書き込みに対応するeSIMの販売を開始している。