国内でも、大きな風車がゆっくりと回っている風景を、時折見かけるようになった。言わずと知れた風力発電だが、いくつかの課題を抱えている。

 一つは、発電に適した風を得られる場所である。専門家は、風の資源とか、風況などと呼ぶ。十分な発電量を得るには、良質な風の資源が必要である。国内では、風の資源に恵まれているのは、北海道、東北、九州地方と言われており、範囲も限られるようだ。

 傍目にはゆっくり回っている風車だが、騒音の問題も抱えている。低い周波数の騒音が出ると言われており、これが風車の設置場所を限定してしまう場合もある。

 いっそのこと海に出てしまえば、これらの問題を解決しやすくなるとは誰もが考えることであり、実際に欧州では北海洋上に風車を設置し、発電する設備が数多くある。これが「洋上風力発電」である。

 ただ国内の海は、近海といえども深いのが悩みの種である。北海などはせいぜい50mくらいの水深しかないので、海底に柱を立てる着床式によって風車を設置しやすい。一方、国内では深い海にも設置できるように、フロート上に風車を設置して発電する設備の研究が進んでいる。これを浮体式と呼ぶ。

 機械メーカーや大学などが競って研究開発を進めており、良好な成果が得られる日も近いかも知れない。

洋上風力発電
洋上風力発電