3Dテレビとは,3次元(3D)映像を表示できるテレビのこと。2010年2月末以降,3Dテレビが世界で相次ぎ発売されている。2010年2月に韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,同3月に韓国LG Electronics Inc.,同4月にパナソニック,同6月にソニー,同7月にシャープなど,大手テレビ・メーカーが次々に3Dテレビを発売した。

 実は,3Dテレビ初の製品は2008年に登場したが,今回は① 大手家電メーカーのほとんどが対応製品を発売する,② 3D映画を収めたBlu-ray Discにも対応する,③ 3D放送を始める事業者やコンテンツも増えている,といった状況のため,2010年は実質的に3Dテレビ元年とされる。

 3Dテレビは,メガネを掛けて視聴するメガネ式が中心になる。だが,2010年12月にメガネを使わずに裸眼で視聴できる裸眼式の3Dテレビを東芝が発売する。

値下げ競争を止める可能性も

 2010年1月の展示会「2010 International CES」では,さまざまなメーカーが3Dテレビを展示したことから,「3Dテレビは誰でも作れる」という見方が広がった。しかし,それはおそらく正しくない。3Dテレビの「おもちゃ」を作るのは簡単かもしれないが,鑑賞に堪える自然な3D映像を表示する「製品」にするには,高い技術力が問われるからだ。

東芝の裸眼式3Dテレビ

 実際,最近のいくつかの製品発表や技術発表で分かってきたのは,3Dテレビは,2Dのテレビよりもパネルの実力,あるいは技術開発力の差が出やすいという点である。2Dテレビでメーカーの「絵作り」のこだわりに気付く消費者は一部の人に限られたが,3D映像の「違い」は,2Dの場合よりもずっと明確に分かる。3D映像は,普段の視界が直接比較対象になるのが理由の一つだろう。出来の悪い3D映像は単なる好みの問題を超えて,「3D酔い」など健康問題に直結しかねない。

 このためか,特に日本の家電メーカーは,3Dテレビに最新のパネル技術や工夫を注ぎ込んでいる。「今回は,容易にはマネされない」(シャープ)と意気込んでいる。

Samsung社のメガネ式3Dテレビ/LG Electronics社のメガネ式3Dテレビ
パナソニックのメガネ式3Dテレビ  ソニーのメガネ式3Dテレビ
シャープのメガネ式3Dテレビ/東芝のメガネ式3Dテレビ