図19 代表的なバックライト構造
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 液晶パネルの表示性能は,ライティングによって大きく左右される。しかもライティングは,非常に大きなコストを占める。ライティングは,パネルの種類によってバックライト(Backlight)とフロントライト(Frontlight)に大きく分かれる。主流はバックライトであり,透過型液晶パネルや半透過型液晶パネルで使う。フロントライトはまだ品質面や性能面で十分ではない。そこで以降ではバックライトを中心に,構造,部材,光源の種類を説明する。モバイル機器向け中小型液晶パネルと,テレビ向けの大型液晶パネルで技術の方向性が異なってきている。

 バックライトは,広義ではバックライト・ユニットを,狭義ではユニツトに使う光源を指すことがある。ここでは,光源を含めたバックライト・ユニット全体について示す。ユニット全体の構造は,モバイル機器向け,ノート・パソコン向け,モニター向け,テレビ向けで異なるが,基本は線状の光源から出た光を,各種フィルムを通過させながら均一でムラのない面状の光にする。

 光源の配置で「エッジ・ライト型」と「直下型」に分かれる。エッジ・ライト型は携帯電話機やノート・パソコンなどで使われている。バックライト・ユニットの端に光源を置く方法である。薄型化しやすいという特徴を持つ。ただし,光がパネル全面にムラなくいきわたるために,各種のフィルムを組み合わせる必要がある。直下型は大型テレビなどで使われている。バックライト・ユニットの背面に光源を配置する。大量に光源を並べることができるので,高輝度化しやすいという特徴がある。ただし,ユニットが物理的に厚くなり,コストも高いという問題がある。

 バックライト・ユニットを構成する部材は多い。導光板(Light Guide Plate),拡散シート(Diffuser),反射板(Reflection Sheet),電磁波遮断シート(Electromagnetic Wave Shield Sheet),インバータ(Inverter)などがある。光源は別途解説する。導光板は,光源から出てきた光をパネル全面に広げる役割を果たす。拡散シートは,導光板によってパネル全面に広がった光や,直下型の複数光源から出てきた光を拡散させるフィルムのことを指す。これによって,光をムラなく画面全体に行きわたらせることができる。反射板は,光源から出た光を効率よく使うために,パネル方向に反射させる役割を持つ。電磁波遮断シートは,光源から出る電磁波を遮断するためのシートである。

インバータは,光源を発光させるために不可欠な部品である。一般的な光源として後述の冷陰極蛍光管(cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)があるが,これを発光させるためには1000V以上の交流電圧が必要である。これを発生するのがインバータである。大型テレビなどで光源の数が増えると,このインバータの数も増やさなくてはならない。