実装基板上にチップを実装する方法の一つ。チップ表面と基板を電気的に接続する際,ワイヤ・ボンディングのようにワイヤによって接続するのではなく,アレイ状に並んだバンプと呼ばれる突起状の端子によって接続する。ワイヤ・ボンディングに比べて実装面積を小さくできる。また,配線が短いために電気的特性が良いという特徴もある。小型,薄型に対する要求の強い携帯機器の回路や,電気的特性が重視される高周波回路などに向く。チップの熱を基板に伝えやすいため,発熱が問題になるLEDの実装にも使われている。

 LEDチップをパッケージに格納する際にフリップチップ実装を用いると,熱源となる発光層がパッケージ側に近くなる。そのため,LEDチップからパッケージ側に熱を逃がしやすくなる。

 加えて,LEDチップをフリップチップ実装すると発光層の光が外部に出るときに電極の遮蔽がないという利点がある。特に,サファイア基板を用いた青色LEDなど,LEDチップの片面にのみ電極を設けた場合にその効果が大きい。フリップチップで実装したLEDの発光効率は,ワイヤ・ボンディングによる実装に比べて数十%高まるとされる。

LSIではチップ面積削減に効果

 フリップチップ実装は,LSIで数多く使われる。入出力(I/O)端子をチップ全面に持つため,チップ面積を小さくすることが可能だからだ。従来,一般的だったワイヤ・ボンディングの場合はI/Oがチップ周辺部にあるため,必要なI/O数をそろえるためにチップ面積を大きくしなければならなかった。ワイヤによる配線スペースが不要になるので,パッケージも小さくできる。電源雑音や配線のインダクタンス, 抵抗による損失も低減できる。

フリップチップ型を採用して光取り出し効率を高める
フリップチップ型を採用して光取り出し効率を高める
発光層の下にあったサファイア基板を上にすることによって,光取り出し効率を高めた。 (フィリップス・ルミレッズ・ライティング・カンパニーの資料を基に本誌が作成)