LEDの用途はインジケーターや液晶パネルのバックライト,照明器具,ヘッドランプなど極めて幅広い。白色LEDが発する光の放射特性への要求値は多様化している。一方,LEDは点光源であり,かつ指向性が強いという特徴がある。LEDの特徴を踏まえた上で幅広い要求に応えるには,レンズなどの光学部品を用いて点光源かつ指向性が強いといった,LEDの光を所望の放射特性に変える光学設計が不可欠となる。光学設計が価値を生み出すようになるという見方もある。

 バックライトや車載機器,照明機器などの新規市場をにらみ,日米欧のLEDメーカーは事業領域を広げようとしている。新規市場では,光学部品との組み合わせや機器への実装方法,機器全体での配光制御の重要性が増す。LEDメーカーはこうした領域に踏み込み,製品の付加価値を高めることを狙う。

 照明用途に向けて所望の光学設計に近づけられるように,放射角の異なる複数の品種をそろえるだけでなく,LEDメーカーはさまざまな工夫を加える。例えば,多様なレンズを使えるようにしたのが,ドイツOSRAM Opto Semiconductors GmbHである。高出力の白色LEDとレンズを別体で用意し,放射角が異なるレンズを白色LEDに組み合わせる。白色LEDのパッケージ上に穴を開けておき,凸部を設けたレンズを差し込む。これにより白色LEDの放射面とレンズの光軸が簡単に合わせられ,かつ一度合った光軸がずれないようにした。

 液晶パネルのバックライトに向けては,光学設計する上でLEDと組み合わせて均一な面発光を得る光学部品が重要になる。

新規市場に向けて事業領域を広げる
新規市場に向けて事業領域を広げる
バックライトや車載機器,照明機器などの新規市場をにらみ,日米欧のLEDメーカーは事業領域を広げようとしている。新規市場では,光学部品との組み合わせや機器への実装方法,機器全体での配光制御の重要性が増す。LEDメーカーはこうした領域に踏み込み,製品の付加価値を高めることを狙う。