現在販売中の赤色LED
現在販売中の赤色LED
ロームの赤色LEDを発光させたところ。

 赤色に発光するダイオードのこと。発光波長の中心は620~630nm程度である。イルミネーションやインジケーター,自動車のテール・ランプ,信号機など赤色に表示する部分の光源やLEDディスプレイの赤色光源,液晶パネルのバックライト光源などに使われ,応用範囲は広い。

  現在,赤色LEDの材料はAlInGaPという化合物半導体が主流である。AlInGaPはAl,Ga,In,Pの4種類の元素を使うので,4元材料と呼ばれる。LEDの分野で4元材料といえば,一般にAlInGaPを指す。赤色のみならず,AlInGaPは赤色から黄色の波長帯域をカバーする。

  AlInGaPは1990年代に入ってから急速に明るさが増した。MOCVD法に代表される気相エピタキシャル成長技術が向上し,結晶の品質が高まったからである。AlInGaPが登場する以前は,GaAs系半導体が主流だった。液相エピタキシャル成長技術を使っていた。

  赤色LEDは,青色LEDや緑色LEDと比べ,駆動電圧や温度特性が異なる。これは,赤色LEDがAlInGaP,青色LEDや緑色LEDがGaN系といった,半導体材料の違いに起因する。駆動電圧(順方向電圧)は,赤色LEDが2V台なのに対し,青色LEDや緑色LEDは3V台である。温度特性については,赤色LEDの方が温度により出力が大きく変化し,高温における出力の低下が緑色LEDや青色LEDよりも顕著になる。このような特徴の違いがあるため,液晶パネルのバックライトやLEDディスプレイなど,赤色LEDと青色LED,緑色LEDを組み合わせて使う場合に配慮が必要である。例えば,カラー・センサを使って赤色LEDの特性変動を監視したり,LEDの放熱性を高めたりといった工夫を施す。