TFT基板の表面側から光を取り出す有機ELパネルのデバイス構造の一種。この構造はTFTアレイ上に有機EL素子を形成後,発光層の上に透明電極を成膜する。発光層が劣化しやすいが,TFTの数やレイアウトによらず高い開口率を保てるため高精細化が容易である。

 ソニーがSID 2007で発表した「Super Top Emission」と呼ぶ構造では,反射機能を備えた正極(下部電極)に半透過機能を備えた負極(上部電極)を組み合わせ,多重反射干渉(キャビティ)を用いて色再現範囲を拡大している。ただしこの方式では,「RGB3色ごとに発光層の厚さを細かく制御する必要がある」(国内の有機EL技術者)という。

 有機ELの光取り出し構造にはこのほか,作製が容易なボトム・エミッション型もある。

図 有機ELの光取り出し方式には主に,開口率を上げやすいトップ・エミッション型(a),作製が容易なボトム・エミッション型(b)の2種類がある。これに加えて,TFTが透明であればボトム・エミッション型のまま,開口率を向上することも可能となる(c)。(a)と(b)を組み合わせた両面発光型の実現も容易になる。
図 有機ELの光取り出し方式には主に,開口率を上げやすいトップ・エミッション型(a),作製が容易なボトム・エミッション型(b)の2種類がある。これに加えて,TFTが透明であればボトム・エミッション型のまま,開口率を向上することも可能となる(c)。(a)と(b)を組み合わせた両面発光型の実現も容易になる。 (画像のクリックで拡大)