人間には検知できない形で音声や画像,映像などのコンテンツに何らかの情報を埋め込む技術。埋め込んだ情報を基に,コンテンツの違法コピーの識別などに利用する。人間が知覚できないため,ユーザーは透かし情報を気にすることなくコンテンツを視聴できる。

 例えばコンテンツの権利者が,コンテンツの識別情報を透かしに埋め込んでおき,動画共有サイトなどで流通するコンテンツの利益配分に利用する。上映する映像に映画館の情報や上映時刻などを埋め込んでおけば,海賊版の映像を解析することで,盗撮した映像の出所を判別できる。

 ただし,透かし情報の使い方によっては,誰がどのコンテンツを視聴したのか,といったプライバシーを侵害すると受け取られる可能性がある。実用化の際には,個人情報を記録しないようにしたり,契約段階で説明責任を果たしたりするといった対策が必要になるだろう。

 技術的には,アナログ・コピーなどで雑音が増加すると情報を検出しにくくなるなどの課題がある。

電子透かし技術の利用形態と応用範囲を示した。コンテンツの提供者があらかじめ電子透かし情報を埋め込んでおき,コンテンツを入手したユーザーはそれに気付かず視聴する。透かし情報の利用者だけが,埋め込んだ電子透かしのアルゴリズムに対応する機器を用いて検出する(a)。流通しているコンテンツの特定や,コンテンツの付帯情報を用いたコピー制御などに利用できる。また,コンテンツの再生時に機器が電子透かしを埋め込むことによって,不正な流通に加担した人物を調査するといった利用も可能だ(b)。
電子透かし技術の利用形態と応用範囲を示した。コンテンツの提供者があらかじめ電子透かし情報を埋め込んでおき,コンテンツを入手したユーザーはそれに気付かず視聴する。透かし情報の利用者だけが,埋め込んだ電子透かしのアルゴリズムに対応する機器を用いて検出する(a)。流通しているコンテンツの特定や,コンテンツの付帯情報を用いたコピー制御などに利用できる。また,コンテンツの再生時に機器が電子透かしを埋め込むことによって,不正な流通に加担した人物を調査するといった利用も可能だ(b)。
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