オブジェクト指向プログラミング言語。島根県松江市にあるネットワーク応用通信研究所に勤務しているソフトウエア開発者,まつもとゆきひろ氏が個人で開発した。「楽しくプログラミングできる」ことを重視して作られており,ソフトウエア開発において高い生産性を持つとされている。
 
 1995年12月に最初のバージョンが公開されてからしばらくは「知る人ぞ知る」玄人好みの言語だった。状況が一変したきっかけは,デンマークのDavid Heinemeier Hansson氏がRubyを使い開発したWebアプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」(以下Rails)である。データベースと連携するWebアプリケーションを簡単に構築できる点を特徴とし,2005年あたりから世界的なRailsブームを開発者の間に巻き起こした。Railsの人気に後押しされる形で,その記述言語であるRubyも脚光を浴びるようになった。
 
 話題は先行しているものの,実はRubyの採用はまだそれほど進んでいない。例えばWebアプリケーション開発ではPerlやPHPといった言語が一般的で,Rubyの本格的な普及はこれから。Javaや.NETが主流の企業システム開発ではほとんど使われていない。組み込みソフトウエア開発への応用はもっと厳しい。Rubyは,プログラムを逐次解釈/実行するインタープリタ型の処理系であり,処理速度やリソース消費量の面で組み込みに向かないからである。