LED head lamp

 白色LEDを使ったヘッドランプは,小型でデザインの自由度が高く,故障もしにくいという特徴を持つが,これまで量産車にを採用された例はない。法律で使用が認められていないためである。しかし2007年ころに欧州規格が改正される見通しで,そうなればLEDヘッドランプを搭載したクルマが続々発表されるだろう。明るさについては,多灯化することで各社とも300~400lmほどを実現しており,ヘッドランプに求められる500~1000lmに近づいている。

 白色LEDを使えばヘッドランプが小さくできるので,クルマのデザインには大きな影響を与える。機能面でも配光可変システム(AFS:adaptive front-lighting system)が作りやすくなるなどのメリットがある(図1)。ステアリングの舵角に合わせて照射角度を変えるAFSは,ランプを左右に振る駆動部を備えるのが普通。駆動機構はコスト増や故障の原因になるのでなるべく使いたくない。これに対し,市光工業は異なる向きに七つの白色LEDを配置し,進行方向に合わせて必要なLEDを点灯することでAFSを実現した。メインのランプは中心部を照らすHID(high-intensity discharge lamp)で,LEDはAFS用として周辺部を照射する。駆動部を省いたためライトを小型化,軽量化できるほか,信頼性も上げられる。

LEDランプを使ったAFS
図1●LEDランプを使ったAFS
メインビームはHIDで,ロービーム/ハイビームを兼用する。その周りをリング状に囲む部分は車幅灯として機能する。中には白色LEDが12個入っている。上にある小さいランプが白色LEDを使ったAFS。AFS点灯時は徐々にランプを切り替える。